『おむすび』“歩”仲里依紗はなぜ“ギャル”になったのか 心に刻まれた過去の姉妹の抱擁
『おむすび』(NHK総合)第18話で、歩(仲里依紗)は天神で、かつて敵対グループだった明日香(寺本莉緒)とあることで対決する。一方、結(橋本環奈)は歩のことを受けとめられずにいた。 【写真】ラーメン屋で語り合う歩(仲里依紗)と愛子(麻生久美子) 「うち、あんたときっちり勝負つけたいと思っとったんよ」と歩を呼び止めた明日香だが、2人の勝負はその場の空気がピリつくようなものではなく、大食い対決というのがなんともかわいらしい。勝敗は歩が明日香に勝ちを譲る形となったが、明日香は「よっしゃ~!長年の恨み、晴らした~!」と嬉しそうだ。 「私ってそんなに恨まれてた?」 「ううん、アユに憧れとった。ずっと追いつきたかったんよ」 かつて対立していたとはいうものの、明日香にとって歩は憧れの存在だったことが分かる。 福岡で“伝説のギャル”として知られ、奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こしてきた歩だが、米田家を飛び出した後、東京で何があったのか、そしてなぜ歩がギャルになったのかはまだ明かされていない。だが、第18話では気になる台詞があった。東京でギャル雑誌のモデルをしていた歩がギャルの格好をしていないことに言及した明日香に、歩はこう返したのだ。 「やめたっていうか、私……最初からギャルなんかじゃなかったから」 結も歩も、内に秘めた思いと表に表す感情は裏腹なのかもしれない。 結を演じる橋本が時折見せる憂いに満ちた面持ちから、結が決して口にしない心の傷や本音を抑え込む様子が見て取れるが、歩を演じる仲の表情にも、ツンケンした態度を取りがちな歩が心に傷を負っていること、本心は別のところにあることがうかがえた。
歩(仲里依紗)と結(橋本環奈)の衝突が生んだもの
歩がギャルになった背景に神戸での出来事が関係しているであろうことは予想がつく。第16話で、博多ギャル連合(通称:「ハギャレン」)を否定する歩の言い方に怒った結が明かした本音が思い出される。 「いくらつらいことがあったからって、好き勝手やって、家族に迷惑かけて……」 「つらかったのは、お姉ちゃんだけやない。うちだって、つらかった。苦しかった。悲しかった。神戸のことも、真紀ちゃんのことも」 核心を突く場面が登場するのはもう少し先だと思うが、歩を心配してやってきた愛子(麻生久美子)は「歩のおかげで、やっと結の本音が聞けた」と口にした。福岡・糸島に来てから神戸のことを話したことがなかったのは歩も結も同じ。2人が素直に言葉を交わすまでにはもう少し時間がかかりそうだが、姉妹の衝突は、結がハギャレンのメンバーたちを呼び出すという、自分から行動を起こすことにつながった。 佳代(宮崎美子)と結、愛子と歩のやりとりの間に挿入された神戸編で、行方が分からなくなった結(磯村アメリ)の姿を見つけるなり強く抱きしめる歩(高松咲希)の姿、そしてみんなにケンカしてほしくないと願った結を優しく包み込む歩の姿が心に残る。 “アユの妹”ではなく結自身がハギャレンの一員としてフェスティバルに参加することが、姉妹のわだかまりをなくすきっかけの一つとなることを願ってやまない。
リアルサウンド編集部