イーロン・マスクが航空当局の罰金に逆ギレ、「提訴する」と投稿
米連邦航空局(FAA)は米東部時間9月17日、スペースXが昨年実施したロケットの打ち上げに関連する違反行為で数十万ドルの罰金を科すと発表した。これを受けて、同社のCEOのイーロン・マスクは、FAAに対抗するための法的措置を取ると脅した。 「スペースXは、FAAの過剰な規制に対して訴訟を起こす」と、マスクは自身が所有するソーシャルプラットフォームのX(旧ツイッター)に書き込んだ。 63万ドル(約8900万円)以上に相当するこの罰金は、昨年2回実施したスペースXのロケット打ち上げ時に使用された未承認の計画に関連している。最初の事件は、昨年5月にフロリダ州ケープカナベラルで発生し、スペースXが無許可で新しい打ち上げ管制室を追加し、手順から準備状況確認の投票を削除したことに関するものだった。その2カ月後に同社は、ケネディ宇宙センターでの打ち上げで、未承認のロケット推進剤施設を燃料供給業者として使用したとFAAは主張している。 「安全はFAAが行うことの基盤であり、商業宇宙輸送ライセンスを持つ企業の安全監督に対する法的責任も含まれる。企業が安全要件を遵守しない場合は、結果が伴う」とFAAのチーフカウンセルのマーク・ニコルズは罰金についての声明で述べた。 今月初めにスペースXは、FAAが同社の次のスターシップ打ち上げを11月末に許可したことを、長文のブログ記事で批判した。同社は、8月初旬から準備を整えていたと主張している。 「我々は、残念なことに、打ち上げの許可を得るための政府向けの書類の作成に、ハードウェアの設計や製造よりも時間がかかるという現実に直面している。これは、アメリカの宇宙のリーダーとしての地位を直接脅かすものだ」とスペースXは述べていた。 ■マスクは過去にも政府を提訴 マスクは過去にも、米政府を複数回提訴しており、今回の発言も単なる脅しではないかもしれない。スペースXは、1月に米国家労働関係委員会(NLRB)を相手取る訴訟を起こしたが、これはNLRBが同社の従業員の不当解雇を非難したことを受けてのものだった。スペースXは、この訴訟で、「NLRBの構造が米国憲法に違反している」と主張し、同社に対する訴えを阻止しようとした。 同社は昨年も同様の戦術を取り、スペースXが難民の雇用を拒否したとする司法省の訴訟を阻止するために政府を提訴した。また、2014年には、空軍が高額な契約を競合他社に与え、最も高額な入札者であるスペースXに与えなかったとして政府を提訴していた。 マスクとFAAとの対立は、彼がXの投稿で批判を浴びる中で発生した。今週初めにマスクは、トランプ元大統領の暗殺未遂事件の後に、「誰もバイデン大統領やハリス副大統領を暗殺しようとしていない」と投稿して、大きな非難を浴びた。 マスクのFAAとの対立と過去の訴訟は、彼と米政府との関係が、より複雑になる可能性を示唆している。トランプは、もし大統領に返り咲いた場合に、マスクを「政府の効率委員会」のトップに任命すると述べている。
Richard Nieva