こどもの疑問に“マジ回答”「なぜ木星は地表面があるように見えるんですか?」に専門家が本気で答えたら…
中核までたどり着くと…
木星のガス層をどんどん下がっていった先に、木星のコア(中心核)があります。ようやく木星内部の中心部に達するわけですが、そこが木星の地表面というわけではありません。 科学者たちは、木星のコアをかたち作るものがどんな物質なのかについて、いまも議論を続けています。最も有力な仮説モデルは、岩石のような固体ではなく、高温高密度の、液体と金属が混ざりあった物質かもしれないというものです。 木星のコアにかかる圧力は想像を絶する大きさで、地球の大気でいえば、1億気圧で押し潰されているようなものです。言い換えると、体の表面の6.5平方センチメートル当たりにエンパイアステートビル2本分の重さがかかっていることになります。 しかし、問題は超高圧のガスだけではありません。木星のコアを目指そうとする探査船は、2万度という超高熱により、影もかたちもなくなってしまうでしょう。それは、太陽表面の3倍も高い温度です。
地球が存在するのは木星のおかげ?
木星は不思議な禁断の惑星です。しかし、もし木星がなかったら、私たち人間は生きていけないかもしれません。 それは、木星が地球を含む太陽系の内側を回る惑星にとって、盾のような役割を果たしているためです。木星は何十億年ものあいだ、その強大な引力で小惑星や彗星を引き寄せて、その軌道を変化させているのです。 木星の強い引力がなければ、このような宇宙ごみの一部が地球に衝突していてもおかしくありません。もしそれが破滅的な衝突だとしたら、生物を絶滅させるとてつもない大災害を引き起こしていたかもしれません。6500万年前に恐竜に起きたことを思い浮かべてみてください。 だから、私たちが存在するうえで、木星は助けになってくれているかもしれないのです。とはいえ木星そのものは、少なくとも私たちが知っているような生命体にとっては恐ろしく住みにくい惑星です。 もっとも、木星の衛星の一つ「エウロパ」ではそうでもありません。そこは、地球以外の太陽系で生命を見つけられる最高の天体かもしれないのです。 NASAはエウロパの地下にあるとされる巨大な海を調査するため、2024年10月14日に無人探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げました。この探査機は木星を周回しながら、エウロパの上空を約50回、接近通過する予定になっています。 では、エウロパの地下の海のなかに何か生命が存在する可能性はあるのでしょうか? それがわかるまで、科学者たちはしばらく待たされることになります。地球から遠く離れた木星へ探査機が到達するのは、2030年4月以降になるからです。
Benjamin Roulston