再審法改正へ 与野党議員が議連を発足「先延ばしせず今改正を」
日弁連の働きかけに呼応
静岡地裁で再審公判が開かれている袴田事件。袴田巖さんが死刑確定判決を受けて第1次再審請求を申し立てたのは1981年4月のこと。それから実に43年もの歳月を経ており、巖さんは88歳。姉ひで子さんは91歳となっている。逢坂氏の言葉にあるように、国会議員たちがこの厳しい現実を受けて動きだしたのは間違いない。 同時に、日弁連による国会議員らへの働きかけも大きかった。 現在の小林元治会長が2022年4月に就任後、同年6月に「再審法改正実現本部」を設置。自身が本部長に、大崎事件の再審問題に長年向き合ってきた鴨志田祐美弁護士を本部長代行にして組織的に取り組んできた。 昨年2月には再審法改正の要綱案と条文案を提言。5月と11月には国会議員への一斉要請を実施し、6月には院内集会も開催。 自民党実力者の麻生太郎氏が呼びかけ人となったのは、青年会議所のつながりで親睦のあった小林会長の働きかけが大きいという。 3月11日の設立総会では、2014年3月に袴田さんの再審開始と拘置の停止を決定した静岡地裁の裁判長だった村山浩昭弁護士が基調講演に立ち、目の前の国会議員らにこう呼びかけた。 「最後に申し上げたいのは、今の日本の刑事訴訟法ではえん罪被害者はなかなか救われません。運用で解決するのは限界です。どうしても改正が必要です。えん罪は、国家による人権侵害です。人権問題を解決するために国会議員の皆様方は力をあわせて、よい改正案を練っていただきたい。先延ばしをせずに今改正する、という決意で臨んでいただきたい」
佐藤和雄・ジャーナリスト