「米投資は非効率」としていたTSMC、トランプ氏当選すると速度戦(2)
これに対し、エヌビディアから高速道路で5分の距離にあるインテル本社は寂寞感が漂っていた。インテル関係者は「人材縮小中で出勤しないスタッフが多い」とした。インテルは最近大規模整理解雇で人件費の半分ほどを減らしたという。インテルは中央処理装置(CPU)ルナレイクの製造を自社ファウンドリーではなくTSMCに任せるなど、「メイドインUSA」の夢より自らの整備に乗り出した。 世界で先端半導体を生産できるTSMC、サムスン電子、インテルの3社のうち、インテルが脱落し、サムスンはまだ歩留まりと性能で大口顧客の信頼を得られずにいる。結論はだれもがTSMCの顔色をうかがう。最近エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは「新製品AIアクセラレータ『ブラックウェル』の遅延はTSMCの過ちではなくわれわれの過ち」と話し、AMDのリサ・スーCEOは他のファウンドリーを利用する考えはあるかとの質問に「TSMCに満足している」と公開で答えた。 エヌビディアとTSMCの独走時代に韓国の位置付けは大きく縮小された状態だ。モバイルからAIへと主要技術が移動し、韓国の製造産業の重要度が落ちた影響だ。モバイルを二分するグーグルとアップルに、韓国はディスプレー、カメラ、基板、スマートフォンアプリケーションプロセッサ(AP)などで「代替不可能な供給元」だった。しかしAI時代の供給網である超大規模言語モデル(オープンAI、グーグル)、ファブレス(エヌビディア)、専用メモリー(SKハイニックス)、ファウンドリー・パッケージング(TSMC)、サーバー(デル)とつながる構図で韓国の領土は減った。サムスン電子はAI強者のエヌビディアと広帯域メモリー(HBM)以外につながりがないが、最新はHBMの納品が遅れ立場が弱まっている。 ◇「1位宣言」し戦略はなかった韓国 世界の半導体供給網を左右する米国の政権交代を契機に韓国のシステム半導体戦略も立て直さなくてはならないという指摘が出る。韓国は2019年に大統領まで乗り出して「システム半導体2030」ビジョンを宣言したが、「2030年にメモリー1位、ファウンドリー1位」というスローガンは現実的でも戦略的でもなかったという指摘が出る。 ある経済安全保障専門家は「米国が自国中心の半導体供給網を悩み始めた時に、メモリーを独占する韓国が非メモリーも1位になると宣言したのは国際情勢に過度に無知だったこと」と指摘した。成均館(ソンギュングァン)大学化工学部のクォン・ソクチュン教授も「必要なビジョンだったが、それに合わせた投資と成果管理で十分な効果を上げられなかった」と評した。キョン・ヒグォン委員は「政府も過去の輸出・量産を中心にメモリーを支援した方式を超え、システム半導体生態系育成政策を精巧に立て直さなければならない」と話した。