『ウルトラマンブレーザー』田口清隆監督、国会議事堂に注いだ特撮魂 破壊シーンも妥協ナシ
「今のテレビシリーズのウルトラマンは、制作環境的にミニチュア特撮でやらざるを得ない。撮れる状況が整っているし、それで描いて来た世界観が確立されてもいるわけです。正直これが願ったり叶ったりで。理想論は置いておくとして、僕自身ウルトラマンの映画を撮るのは久々ですし、ミニチュアの国会議事堂の破壊には根っこにある『特撮好き』が大いにうずきました」
スケールにこだわった国会議事堂のミニチュア
これまで幾多の作品で破壊シーンが描かれてきた国会議事堂だが、そのミニチュアにも監督のこだわりがうかがえる。ウルトラマンシリーズをはじめ、たいがいの巨大特撮は、ヒーローや怪獣を50メートルクラスに設定し、ミニチュアを1/25スケールで再現することが多い。だが、議事堂は中央塔までの高さが地上から約65mと意外と大きいのである。 過去の国会議事堂の破壊シーンを振り返ると、たとえば第一作『ゴジラ』では1/33、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では1/40と設定上のスケールより幾分小さく作られ、ゴジラが大きく見えるようにされていた。そういった前例がある中、本作で田口監督が狙ったのは、「ウルトラマンの設定に合わせた直球の1/25スケールでの国会議事堂の再現」である。
「1/25スケールで国会議事堂を再現する上では、下積み時代からずっとご一緒している美術の稲付正人さんに相談したところ、最初は『予算的にキツイよ、それは』みたいな反応で(笑)。やっぱりとても大変なんですよ。だけど、最終的にはスタッフ全員が乗ってくださって『最後に盛大な花火を打ち上げよう』と実現に向けて動き出しました。やっぱり特撮映画好きとしては、既存の有名な建物が盛大に破壊されるのは、非常に燃えるところじゃないですか。今回の映画では、何よりそこをしっかり描きたいと思いました」と田口監督。
最後に、改めて映画の見どころを訊いてみた。「テレビシリーズを応援してきてくださったファンの皆さんには、ウルトラマンブレーザーとSKaRDが『怪獣映画』という枠組みを舞台に大暴れする様を存分に楽しんでもらえればと思います。また、この作品で初めて映画を観る子供たちがいるかもしれないので、そんな彼らに向けて『これぞ、特撮怪獣映画だ!』と、その魅力が届いてくれたら嬉しいですね」(取材・文:トヨタトモヒサ)
『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』は全国公開中