「コヒナ」がサザビーリーグに合流した理由 “D2C”の枠を超え「小柄女性の一生に寄り添う」
ただリアルの接点形成はnewnの得意分野ではないし、初期費用がガツンとかかってしまう。店頭でブランドの価値を伝える販売員のリソースや育成ノウハウもない。これまで培ってきた「コヒナ」らしさを大切にしながら、リアルビジネスのノウハウがあり、しかもスピード感を持って成長を実現できそうなパートナーとして、サザビーリーグはベストな選択だと直感した。
WWD:サザビーリーグで活用できるリソースとは、具体的に?
帰山:「コヒナ」の若さと情熱で突き進んできたエネルギーをそのままに、商品自体のクオリティーの底上げと緻密なCRM(顧客関係管理)でより満足度を高めていく。当社には10年、20年、50年近く続いているブランドもあるが、いかにお客さまのLTV(顧客生涯価値)を高め、長く愛していただくかという視点を忘れたことはない。われわれのスピリットを注入し、「コヒナ」を末長く愛していただけるブランドにしていきたい。
WWD:モデルケースとなるブランドは。
帰山:やはり、「アルティーダ ウード」。今年4月にニュウマン新宿にリアル店舗を出した。D2Cブランドがリアルの接点を持つことでどう(成長の天井を)ブレイクスルーしていくかが理解できてきてきたところだ。モノ作りや顧客体験の設計などの面で言えば、「アナイ(ANAYI)」や「エストネーション(ESTNATION)」「ロンハーマン(RON HERMAN)」といったブランドの蓄積は確実に生きてくるだろう。
田中:これまでスタートアップよろしく、良くも悪くもユニークな運営をしてきた自覚がある(笑)。熱量の高い人材の集まりでやってきた分、個々のオペレーションは属人的になってきている面は否めない。そういったところでベターな組織運営や仕事の回し方があればどんどん改善していきたいと考えている。
帰山:ロジスティクスや在庫管理などの面でも、合理化によって利益の改善余地があると見ている。事業を引き受けるにあたって、すでにデューデリジェンス(投資前の調査)はさせてもらっているものの、これから深く入り込んで侃侃諤諤やっていくつもりだ。