「コヒナ」がサザビーリーグに合流した理由 “D2C”の枠を超え「小柄女性の一生に寄り添う」
WWD:「コヒナ」は小柄女性向けに特化した、SNSでコアなマーケティングとファン作りに特徴があるブランド。サザビーリーグのノウハウは生きるのか。
帰山:確かに「コヒナ」は、これまでわれわれが作ってきたブランドとは少し毛色が異なる。われわれの全ての事業の根幹にあるのは「エモーション」だが、「コヒナ」は「ソリューション」の側面も強いブランドだと思う。心がときめくようなデザインとともに、小柄な女性を幸せにするという、明確な意思が服から伝わってくる。D2Cブランドが雨後の筍のように出てきた時期を経ても生き残っているというのは、ブランドのパーパスや提供する価値がしっかりしている証拠。ファンもしっかりとついてきている。われわれが得意とする「エモーション」、つまりは服のデザインやビジュアルのムードを磨いていくことで、「コヒナ」のポテンシャルをもっと引き出せるはず。
WWD:「コヒナ」の強みと課題をそれぞれどう捉えるか。
田中:私たちはオンライン主体の運営でも、お客さまとの密度のあるつながりを大切にしてきた。特にインスタライブは毎日欠かさず続け、連続配信5周年を達成することができた。節目の回は公開生収録として、オフィスでの配信の様子をお客さまにも見ていただけるようにしたところ、予想を超えてたくさんの視聴者がいらっしゃった。ライブ配信をきっかけに購入した服を着てきてくださり、服にまつわるエピソードをうれしそうに話してくださる方、岐阜や三重など遠方からいらっしゃる方もいた。改めて、「コヒナ」はお客さまの熱量に支えていただけているブランドだと実感した。
SNSのフォロワー(24年11月現在で22.7万人)は順調に伸びているが、それ以上に、お客さま1人あたりの年間購入頻度が高い。世の中にこれだけたくさんの選択肢がある中で、「コヒナ」でしか買いたくないというお客さま、目移りしてもまた戻ってきてくださるお客さまに、もっと信頼していただきたいという思いがある。これまで月に2回ほどポップアップストアを実施してきたが、特定のスタッフに深いエンゲージメントのあるファンがついてきた。期間中は、スタッフのシフトに合わせて何度も来店いただくようなお客さまもいるほど。やはりファンの皆さまの期待に応えていくには、リアルの場は不可欠だと感じる。