長野を舞台にした「木の物語」の絵本が好評 書店販売も進む
緑化などに取り組む公益財団法人「長野県緑の基金」(長野市)が10年にわたり発刊している木や森の物語の絵本が、配布先の長野県内の小学校などで人気を集めています。3年前からのシリーズ「森のくまさん」は昨年末に2冊目を刊行し、原画展も開催。書店での販売も進めている事務局は「信州の自然と緑を大切にする気持ちが育つきっかけになればうれしい」と反響に期待しています。
長野県緑の基金が10年にわたり発刊
絵本は「子どもたちの心に木を植えるプロジェクト」との狙いで、木や森が伝えてくれる物語のシリーズとして発刊。10年前の2008年から長野県内各地を舞台にした物語を県内などの作家らの物語や絵で構成し、これまでに7冊発行。それぞれ2000部ほど印刷し、県内の小学校などの図書としてきました。 最初に発行した「太一と夜泣き松」は同県大鹿村が舞台。皆が大切にしている夜泣き松という樹齢700年の巨木と村の子ども太一の物語。2作目は阿智村の「おおまきの唄(うた)がきこえる」で、ミズナラの木と少女が登場します。
続いて「うえんじいさまのき」(塩尻市)、「まんげつのやくそく」(飯山市)、「こっぱとじっさま」(根羽村)など地域色を生かした物語を展開しています。このうち「こっぱとじっさま」のテーマとなった大杉は根羽(ねば)村にある樹齢1800年とされる巨木で国指定の天然記念物。実在する自然を舞台にした物語から感動を広げています。 3年前に発刊した「森のくまさん」(藤岡牧夫=絵・文)は、千曲川の源流域の森をめぐるクマと子どもたちの物語で、森に住むほかの動物や昆虫なども登場。同じシリーズで木曽郡を舞台にする7冊目の「森のくまさん 木曽物語」は昨年12月に発行し、1月に木曽町で開いた原画展や出版記念会がにぎわいました。 分かりやすい物語と楽しい絵が子どもたちに喜ばれており、基金では事務局での取り扱いのほか、一般書店での販売も進めています。「より多くの人々にこの本を知ってもらい、こどもたちに森や木からのメッセージが届いてほしい」と事務局。絵本はそれぞれA4変形判で「森のくまさん 木曽物語」は税込みで1200円。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説