「“キャラで言うだけだから傷つかないで”と言ってくれて…」 ピーコさんの“愛ある毒舌”を作家・岩井志麻子が明かす
独特のトークで茶の間を沸かせたコンビの片割れは、あまりに寂しい最期を遂げていた。双子のタレント「おすぎとピーコ」の兄でファッション評論家のピーコさんが先月、79歳で世を去っていた。その晩年は……。 【写真】まだ若き安住アナに抱きつき…ピーコさん秘蔵写真 ***
神奈川県内の病院でピーコさんが息を引き取ったのは9月3日のことだった。 「死因は敗血症による多臓器不全。ピーコさんは近年、認知症を患っており、昨年6月に施設に入所。今年8月には体調を悪化させて病院に移っていました。弟のおすぎも認知症で別の施設に入っており、9月8日に営まれた密葬では喪主を務めたものの、参列しませんでした。兄の死を伝えられながらも、一連の状況を把握できているのか疑わしいというのです」(芸能記者)
周囲に「おすぎは死んだ」と触れ回り……
10月19日には四十九日の法要が営まれた。兄弟の悲劇は3年前にさかのぼる。 「おすぎに認知症の症状が見られたため、心配したピーコさんが福岡に住んでいた弟を呼び寄せ、2021年秋から横浜のマンションで同居が始まります。ところが、『老老介護』は衝突を繰り返して長続きせず、一昨年2月におすぎは横浜市内のグループホームへと移されたのです」 が、残されたピーコさんも、すでに認知症にかかっており、周囲に「おすぎは死んだ」と触れ回ったり、訪問した役所の職員と会話がかみ合わなかったりと、懸念は端々にうかがえたという。
叱られても
ピーコさんは23年3月、近所の商店で酒を万引きし、現行犯逮捕されてしまう。それまで近隣ではたびたび“被害”が出ていたといい、これを機にピーコさんも施設へと移され、無人となったマンションは昨年8月に売却されている。 丁々発止のやり取りで人気を博した兄弟には、およそ似つかわしくない“離散”である。ピーコさんと親交のあった放送作家の山田美保子氏が言う。 「大卒後にラジオ局で、車に乗って各地から中継する仕事をしていた頃、番組でご一緒したピーコさんさんから、よく会議室で『もっと真剣にやりなさい』と叱られました。仕事に対する“腰かけ”的な甘さを見抜かれたのでしょう。その後もお付き合いさせていただきましたが、以前一緒にお食事した時には、私が無作法にもワインをなみなみとついでしまい、『こんなふうにつぐ女と一緒にいたくないわ』と一喝されたことも……。でも、厳しさの裏にはいつも優しさがありました」
「口調とは正反対の気配り」
また、テレビ番組で共演した作家の岩井志麻子氏も、 「毒舌の人には、本番前に出演者に『キャラで言うだけだから傷つかないでね』と声がけするタイプと、後から『さっきのは本気じゃないから』とフォローするタイプがいて、大体は後者なのですが、ピーコさんさんは前者。そこに、口調とは正反対の気配りを感じました」 唯一無二の個性が、またしても失われてしまった。 「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
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