最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?
軽微な交通違反についてはどうなるのか?
法律上は、犯人の住居や氏名が不明、または犯人が逃亡するおそれがある場合に限り現行犯逮捕ができます。たとえば、軽微な違反である信号無視や一時停止違反をうっかりしてしまったバイクのライダーを、私人逮捕することも不可能ではありません。
しかし、実際に信号無視や一時停止違反などの軽微な違反をして、警察に逮捕されるケースはまずありえません。というのも、軽微な交通違反をした人に対しては「青キップ」と呼ばれる告知書を発行する「交通反則通告制度」で取り締まるのが一般的だからです。 これは、本来すべての交通違反について刑事事件として立件すべきところを、反則金を納めることで行政上の手続きのみで完了し、刑事処分を免れるという制度。すべての交通違反を刑事手続きで処理していると膨大な数になり、役所や裁判所がパンクしてしまうため、行政機関や違反者の負担を減らす目的があります。 ましてや、逃亡しようとしている犯人を警察ではない一般人が取り押さえることは非常に難しいことです。また、万が一相手が逆上して抵抗されてつかみ合いになったら、トラブルに発展して自身が罪に問われてしまう可能性もあります。つまり、軽微な違反については刑事事件と立件されるケースがほとんどないため、逮捕するという行為そのものが必要ないといえます。
そのため、私人逮捕はあくまでも、ひき逃げや飲酒運転による当て逃げなど、重大事故を起こした犯人を逃がさないための緊急的な処置として考えるべきです。軽微な違反については、危険を犯してまで違反者の身柄を取り押さえようとはせずに、その道のプロである警察にまかせたほうが安全といえるでしょう。 ※ ※ ※ 近ごろ、動画サイトやニュースなどで何かと話題になっている「私人逮捕」。要件を満たしてさえいれば、バイクの交通違反に対しても私人逮捕することは可能です。しかし、これはあくまでも法律上の話になります。 私人逮捕を実行すれば、思いもよらないトラブルに巻き込まれたり、自身が罪に問われる可能性があるため、やらないに越したことはありません。目の前で交通違反を目撃したときは、ナンバーを控えて、その場で110番に通報することをまず考えるようにしましょう。
Peacock Blue K.K.