京都市長選挙「初当選」松井孝治氏 オーバーツーリズム対策「2つの案」を語る
官房副長官時代を知らない若い人へは「何をしていたのか」から説明
須田)加えて松井さんは、久方ぶりに政治の第一線へ復帰されます。ポイントだったのは、松井さんの官房副長官時代を知らない若い世代だと思いますが、この辺りの反応はいかがでしたか? 松井)まずは、本当の新人になったつもりで取り組みました。私自身、自分の名前を書いていただく選挙は17年ぶりなので、若い方々は私のことをご存知ありません。ある程度の年齢層の方は「よう帰ってきたな」とか、「あのとき民主党で出ていたのに、今度は超党派で出るとはどういうことか」と説明を求められるなど、ご存知の方もいらっしゃいます。しかし、若い方々は私が政治家だったことを知りませんので、自分の名前を浸透させ、「どんな政治家で、何をしていたか」という説明から始めなければなりませんでした。でも、それは必要なことだと思います。
オーバーツーリズムの問題をどう解決するのか
須田)当選後のことですが、市民生活を考えていくと、福山候補も訴えていたように、オーバーツーリズムの問題があると思います。それについてはどう対応していくのでしょうか? 松井)京都だけではなく、鎌倉などもそうですが、京都は人口約144万人で、そこに約5000万人の観光客がいらっしゃるわけです。例えば東山のエリアには清水寺があり、八坂神社があり、知恩院があります。このエリアの人口わずか3万5000人のところに、統計はありませんが約5000万人のうちの相当数が来られるのです。約3万5000人の町に年間3000万~4000万人の方が来られると、どれだけ市民生活を圧迫するのか、謙虚に受け止めないといけません。観光都市ではありますが、市民生活が圧迫されて、一部の市民の方々には「懲り懲りだ」という気持ちが生じているのです。「市民の足をどう守っていくか」を真剣に考え、すぐにでも解決策を具体化させる必要があると思います。
「観光専用路線」と「観光客と市民の運賃価格を変える」という2つの案
須田)何かアイデアはあるのでしょうか? 松井)「観光専用路線」の実現です。いまの法律だと専用のものはできませんが、観光地のみをつなぐエクスプレスラインを、ダイヤ改正で1~2つの路線で実験的に試行するということです。市民の方も乗りたい方は乗れるのですが、少し高めの値段を設定する。いま230円のところを例えば500円いただき、その代わり観光地のみに急行で停まる。 須田)なるほど。 松井)また、これはチャレンジングな課題であり、道路運送法の改正が必要ですが、市民の方と観光客で料金を分けるやり方です。マイナンバーカードに紐付けし、関東で言うところのSuicaやPASMOで認識して、市民は一定の料金にする。観光客は普段税金を納めているわけではないので、少し高い料金を設定する。法改正と、新しいカードリーダーのシステムを導入する必要はありますが、「観光客と市民の価格を変える」という試みを検討できないかどうか、国に働きかけてみたいと思います。