『レスレリ』グローバル版を大々的にアピール! 台北ゲームショウ2024にてコーエーテクモ鯉沼久史氏と襟川芽衣氏にインタビュー。2度目の出展のねらいや、昨年からの変化を聞いた
文:ロマンシング★嵯峨 2024年1月25日~1月28日の期間、台湾・台北の台北南港展示センター ホール1(TaiNEX 1)にて開催された台北ゲームショウ2024。今年は26ヵ国から377社が出展し、注目タイトルを出展、ステージイベントなどを行った。 【記事の画像(13枚)】を見る コーエーテクモゲームスは昨年初出展し、『Wo Long: Fallen Dynasty』や『ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』の試遊台を中心に出展していた。2度目の出展となる今年は、『レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~』がメイン。ステージイベントやコスプレイヤー、ノベルティ配布などを通じて、グローバル版のリリースをアピールした。 本記事では、コーエーテクモゲームス代表取締役社長 鯉沼久史氏と、常務執行役員であり、グローバルマーケティングの責任者も担う襟川芽衣氏のインタビューをお届け。昨年に続き台北ゲームショウに出展した狙いや、台北ゲームショウ2024の印象、コーエーテクモゲームスの2024年の展望などをうかがった。 2度目の出展を決めた理由と、台北ゲームショウの変遷について思うこと ――昨年は、マーケティングの皆さんから「出展したい」という強い要望などがあっての出展だったとのことですが、今年も出展することに決めたのはなぜでしょうか? やはり、昨年の出展に手応えを感じたということでしょうか。 鯉沼 そうですね。昨年は、日本のメーカーで大きなブースを出展していたところは少なかったということもあり、いろいろな反響をいただきました。ある程度手応えもありましたし、経済効果があったと考えています。では、2024年はどうしようか……と考えていたときに、『レスレリアーナのアトリエ』(以下、『レスレリ』)のグローバル版がちょうどリリースされることになりまして。台湾を中心とするアジア圏のモバイル市場は非常に大きいので、台北ゲームショウはいいタイミングだと考え、『三國志 覇道』と、2月7日にリリースされる『Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition』と合わせて出展することを決めました。 ――台湾における影響はもちろん、アジア各国への影響も見越しての出展、ということになるのでしょうか。 鯉沼 そうですね。この時期、台北以外ではゲームショウが行われていないということもありますし。東アジア、東南アジア全般に伝播できればという考えです。去年も、各国のゲームサイトに取り上げられたりもしましたし。グローバル版のゲームは、台湾だけではなくほかの市場にも同時に配信しますので、(台北ゲームショウへの出展が)いい影響を与えていると思います。 ――確かに、台北ゲームショウのインディーゲームブースなどを見ると、台北のクリエイターはもちろん、シンガポールやタイなどの方も出展されていて、アジアのさまざまな国の方が来ているのだと実感します。 鯉沼 “Indie Game Award 2024”受賞者の中には、西洋の方もいますしね。台北でもインディーゲームは根強い人気を持っていて、そういうところからもゲームに対する熱量を感じ取れます。 ――鯉沼さんは昨年に続いての現地参加となりますが、襟川さんはいかがですか? 襟川 私は、今回初めて台北ゲームショウに参加したのですが、想像していたスケールと、実際に目にしたスケールが違うので驚きました。日本から出展している方も多いですし、ブースも豪華で、来場しているファンの方の熱量もものすごくて。稚拙な表現になってしまいますが、「すごいゲームショウだな」と感じています。 ――私も初めて参加しているのですが、会場の様子が、事前に聞いていたものより規模が大きいなと感じています。 襟川 そうなんです。「えっ!?」と驚きました。 ――鯉沼さんは長年、台北ゲームショウに参加されていると思いますが、以前と比べて、今回の台北ゲームショウはいかがですか? 鯉沼 ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(SIE)さんが出展されていたころは、SIEブースには試遊台が多く用意されていたんですけれど、ほかの出展社さんのブースはモバイルタイトルが多かったこともあり、試遊台はあまりないイメージでした。ですが、今年の各ブースの様子を見ると、けっこう試遊台があって。モバイルに加えて、PCやコンソールに関してもすごく熱量があるということを再認識できました。 ――任天堂やバンダイナムコエンターテインメントのブースなどの試遊台の数は、かなりのものでしたね。 鯉沼 発売前のタイトルも出展されていますしね。うちもしっかりブースを作っていますが、ほかのブースもかなり作り込まれていて驚きました。 襟川 コロナ禍が明けて、東京ゲームショウなども従来の規模で行われるようになりましたが、リアルのイベントが大切だということを皆さんが感じたからというのも大きいと思います。リアルに力を入れて展開できるようになったタイミングということもあってか、ブースのクオリティーが本当に高いですよね。 ――一部のブースは本当に高くて、かなり上を見上げないとメーカー名が見えないくらいで。 鯉沼 そうなんですよね。そしてブースが大きくなったからか、通路が去年より狭いんですよ。例年、土日にものすごい数の方がいらっしゃるので、なかなか混雑しそうです。 襟川 377社が出展しているということなので、すし詰め状態になっていますね。 ――去年はここまでの密度ではなかったのですか? 鯉沼 去年は通路の幅もゆるやかで、ブースの高さもここまでではなかったのですが。今年は高層ビルのようになって(笑)。 襟川 台北ゲームショウはコンソールやモバイルのゲームはもちろん、ボードゲームだったりカードゲームだったり、“ゲーム”と呼ばれるものがなんでもあるようなイベントですから、来年はいまのホールには収まりきらなくなっているかもしれませんね。 鯉沼 以前はもっと台北の中心にあるホールで開催していたのですが、収まりきらなくなって、去年からこの南港展覽館に来たんですよ。ですので、以前よりは広くなっているのですが。とはいえ、コロナ禍のころは開催できていなかった台北ゲームショウが、こうして再開できて、本当によかったと思います。 ブースではグローバル版『レスレリ』を大々的にアピール ――コーエーテクモゲームスのブースは、今年は『レスレリ』メインの構成になっていますが、海外における『アトリエ』シリーズの状況はいかがでしょうか。 鯉沼 『アトリエ』はJRPGとして評価されまして、じつは海外のほうが販売本数が多くなってきています。グローバルで、IPの認知が順調に上がっていると感じますね。とくに『ライザのアトリエ』をきっかけに、大きく伸びた印象が強いです。 襟川 ライザというキャラクターも人気ですし、『ライザのアトリエ』のゲームのクオリティーも認められて、グローバルで拡大するのに貢献してくれました。 鯉沼 『ライザのアトリエ』のヒットのおかげで、『アトリエ』でも、ビジュアルや作り込みにさらにコストをかけられるようになりました。そうして、さらなるクオリティーを目指してチャレンジさせていただいたのが『レスレリ』です。 ――『レスレリ』の3Dモデルは、本当にクオリティーが高いです。 襟川 ありがとうございます。かわいらしさやカッコよさを表現するために、かなり細かいところまで作り込んでいますし、キャラクターを輝かせるためのエフェクトにもこだわっています。 ――その『レスレリ』のグローバル版をアピールするために出展したとのことですが、運営型ゲームはアジア市場において、日本以上に初動のプロモーションが大事だそうですね。 鯉沼 日本でも(最初が)大事ではありますが、アジア市場ではとくにその傾向があるということでしたので、最大限盛り上げられるように力を入れました。 襟川 台北ゲームショウ会場のメインエントランスなどにも、『レスレリ』の広告を出しています。それと、昨年と比べて大きく違うのは、ブースにステージを作ったことですね。ブース自体の大きさは昨年の倍くらいあるのですが、そのうちの半分をステージにしています。ファンの皆さんに情報を発信できるステージイベントを、毎日けっこうな頻度で開催することにしました。『レスレリ』については、ちょうどグローバル版がサービスインするタイミングでステージを行いましたが、これは初の試みでしたね。 それと、コスプレイヤーさんのステージイベントも用意していますし、コスプレイヤーさん用のコーナーもあります。台北ゲームショウは、コスプレイヤーの方への注目度が高いですし、クオリティーもすごいですね。見た目の美しさだけではなくて、ポーズのつけかた、構図の作りかたにこだわりを感じます。 ――台北ゲームショウの会場を歩いていて驚くのは、各ブースで、ステージイベントやコスプレイヤーさんのスケジュールがしっかり掲示されていることです。東京ゲームショウですと、近年はそういったスケジュールはだいたい特設サイトや公式SNSで告知されていて、現地に看板はありませんから。 鯉沼 とはいえ、昔の東京ゲームショウはそうだったんですよね。以前は現地に来てから、今日はどこで何があるんだろうというのを確認していました。 襟川 東京ゲームショウとの違いと言えば、試遊するブースと物販ブースが分かれていないことも挙げられますね。ブースの中に、物販コーナーが設けられていて。 鯉沼 そういうところも、昔の東京ゲームショウに似ています。台北ゲームショウは、旧正月の直前ということもあって、皆さんのイベントに行く意欲が高まっている時期なんですよ。いろいろなゲームを遊んで、グッズを買って帰るという。ですので、物販コーナーは大事なんです。 3月は『Rise of the Ronin』や運営タイトルの周年などを盛り上げる ――2024年のコーエーテクモゲームスについて伺います。2月には『Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition』、3月にはコーエーテクモゲームスが開発を担当している『Rise of the Ronin』と、シリーズ最新作となる『ウイニングポスト10 2024』が控えていますね。 鯉沼 そうですね。『Rise of the Ronin』は長年開発してきましたが、調整もほぼ終わり、社内での評価も非常に高いものになっているので、あとはリリースを待つばかりです。 ――4月以降の展開は、あまり発表されていないようですが……? 鯉沼 昨年はかなりの数の運営タイトルをリリースしたので、まずはそれらの運営をしっかりやっていきます。それと最近は、どんなタイトルもかなりのクオリティーを求められるため、作り込みにどうしても時間がかかってしまいます。なかなか思ったように本数が出せていないという思いはありますが、まだ発表していないタイトルを一生懸命開発しているところですので、お待ちいただければと思います。 襟川 さすがに、4月以降に何も新作を出さないということはないので、タイミングが来ましたら発表させていただきます。まずは『Rise of the Ronin』などをしっかりと販売していきつつ、3月に周年を迎える運営タイトルを盛り上げていきます。この3月、『信長の野望 出陣』と『レスレリ』がハーフアニバーサリー、『三國志 覇道』が3.5周年を迎えるんですよ。 ――そのほか、2024年に注目してほしいタイトルやブランドなどはありますか? 襟川 ルビーパーティーブランドは、今年9月に30周年を迎えます。“ネオロマンス”第1作である『アンジェリーク』が発売されたのは、1994年でしたので。ここでひとつ大きな盛り上げをしたいと思っているのですが、まだ発表できる段階ではないので、こちらもお待ちいただければと思います。 鯉沼 1994年は、じつは自分が入社した年なんですよ。 ――ええっ! では鯉沼さんのクリエイター30周年もお祝いしないと! 鯉沼 ほかにもそういう人はいっぱいいますから(笑)。それは置いておいて、ルビーパーティーはもちろん、ほかのブランドも今年も変わらずがんばっていきます。ガストは『レスレリ』をリリースしましたが、もちろんつぎの新作に向けてもチャレンジしていきますので、ご期待いただければと思います。
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