『ファントムブレイカー:バトルグラウンド アルティメット』目指したのは究極の"集大成"。盛プロデューサー&マイキー氏インタビュー
2025年2月13日にロケットパンダゲームズから発売されるアクションゲーム『ファントムブレイカー:バトルグラウンド アルティメット』。2024年9月26日には日本国内のパッケージ版や、限定版となるコレクターズセットの内容も発表された本作は、2013年に発売された『ファントムブレイカー:バトルグラウンド』、そして2015年に発売された『ファントムブレイカー:バトルグラウンド オーバードライブ』のさらなるリメイク版となる。 【記事の画像(8枚)を見る】 そして本作のリメイクにあたっては、Unreal Engine 5によるゼロからの作り直し、機種の壁を越えたクロスプラットフォームによるマルチプレイ、敵キャラクターの操作といった追加要素など、並々ならぬ熱意で制作されているのが特徴だ。 そこで今回は、改めて本作のキーマンであるプロデューサー・盛政樹氏、そしてロケットパンダゲームズCEOのマイキー・マクナマラ氏にインタビュー取材を実施。本作がどのような経緯を経て、またどのような“究極”を目指して開発されているかをうかがった(マイキー氏はリモートでインタビューに参加)。 盛政樹(さかりまさき): ロケットパンダゲームズ『ファントムブレイカー:バトルグラウンド アルティメット』プロデューサー。 Mikey McNamara(マイキー・マクナマラ): ロケットパンダゲームズCEO。 『ファントムブレイカー』とロケットパンダゲームズとのつながり ――まずは初めて本作の情報に触れる方に向けて、これまでの盛さんと『ファントムブレイカー』シリーズとの関わり、そして本作『ファントムブレイカー:バトルグラウンド アルティメット』(以下、アルティメット)でどのようなお仕事をされているのかをお聞かせください。: 盛: 私は今年からフリーランスで活動をしていましたが、その前は過去20年くらいMAGES.という会社で仕事をしていました。MAGES.はご存知の通り『シュタインズ・ゲート』を始め、アドベンチャーゲームをメインに展開するパブリッシャーです。ですが、私はもともとアーケードゲームのプランナーからゲーム業界歴が始まっているので、シューティングゲームやアクションゲームなど、MAGES.らしからぬゲームを手掛けていました。 その中で作ったのが、1作目となる2011年発売の格闘ゲーム『ファントムブレイカー』です。2013年には派生作品のアクションゲーム『ファントムブレイカー:バトルグラウンド』を発売したところ、おかげさまで好調なセールスを記録していくつかのプラットフォームにも移植されました。 ですがその後はMAGES.の主流ジャンルではないこともあり、会社事情や方針もあってなかなか続編をつくる機会に恵まれませんでした。ただ、私としてもこのままIPを埋もれさせてしまうには惜しく、いつか復活させたいという想いがあったのです。そんな折に、ちょうどマイキーから「新しく会社(ロケットパンダゲームズ)を興すにあたって、何かIPを探している」という相談を受けました。そんな飲み屋でのトークみたいなところから、あれよあれよと事態が進み……(笑)。 一同 (笑) 盛: 最終的には2022年の6月に、『ファントムブレイカー』シリーズのIPをMAGES.からロケットパンダゲームズに譲渡することになりました。このまま『ファントムブレイカー』シリーズが埋もれたままになるのは、応援してくださっているファンにとっても申し訳ないと思っていただけに、人の手に委ねることになるとはいえ、存続の可能性が生まれたのは本当にうれしかったですね。 その後フリーになって、他社さまからお仕事の話もいただいていたのですが、その中にマイキーから「『ファントムブレイカー』の面倒を見てよ!」という依頼もありまして、昔取った杵柄ではありませんが、ここはやはり自分がやるべきだろうと(笑)。最初は監修だけ、と思ってたのですがだんだん深みにはまっていって、いつの間にかロケットパンダゲームズに移籍をして、現在プロデューサーとしてプロジェクトに関わっている形です。 ――マイキーさんからも、ロケットパンダゲームズから『ファントムブレイカー』シリーズを発売することになった経緯をお聞かせください。 マイキー: 私は小学生時代を日本で育ったこともあって日本のゲームや漫画に惚れてしまい、どうにかしてこれらのコンテンツを、海外のファンにより広く伝えられないかと考えていました。そんな折、『ファントムブレイカー』シリーズが新規IPながら大きい成果を上げたという話を聴き、私もこのIPを世界に広めたいと思ったんです。その結果、サカリPとつながる機会を得て、『ファントムブレイカー』シリーズにご縁ができて、いまに至るという感じですね。 なお『アルティメット』には開発というポジションではなく、ロケットパンダゲームズのCEOとして、制作の環境づくりのほうに尽力しています。だからチーム作りと、ゲームのよさを伝える広報的な活動が主な役割ですね。 時代を先取りした『バトルグラウンド』 ――本作は『ファントムブレイカー:バトルグラウンド』をベースにした最新作になります。その詳細をうかがう前に、2013年に格闘ゲームの『ファントムブレイカー』から『バトルグラウンド』が誕生した経緯をうかがえますか?: 盛: 1作目の『ファントムブレイカー』はカンタン操作で必殺技が出せるなど、アドベンチャーゲーム好きなMAGES.のファンに対して“格闘ゲーム入門”的な位置づけで作った作品でした。でも、入門用とはいえ格闘ゲーマー向けのコアな要素も大事だろうと考え、システムの奥深さも重視したのですが、当時はプロモーションでそのあたりをユーザーに効果的に伝えきれず、なかなかニーズに結び付けられませんでした。 とはいえ、このまま『ファントムブレイカー』というIPを埋もれさせるのは惜しいと考え、それならば格闘ゲームではないスピンオフ作品を出そうと考えたのが『バトルグラウンド』が誕生したいきさつです。企画のコンセプトは“誰もが手に取りやすいアクションゲームで、誰でもかわいいと思える、触ってみたく思えるようなキャラクターにする”ことでした。さらに絶対にやらなくてはいけないと考えていたのが、“ダウンロード販売を行って世界に向けて発売すること”と、オンラインでのCo-op(協力)要素を入れることです。 結果、当初はXbox 360だけの販売でしたが、のちにほかのプラットフォームでもリリースされるほどの好評を得まして、全世界でかなりセールスを記録しました。ちなみに当時は「アメリカでは、こういったキャラクターデザインはメインストリームでないからウケないよ」と言われたこともありました。たしかにムキムキでわかりやすく強そうなキャラクターたちではありませんからね。また一部の海外メディアからは「ゾンビはいないんですか?」と聞かれたこともありました(笑)。 ――海外の方はゾンビが好きですよね(笑)。: 盛: でも当時の私は、日本のアニメはすでに海外でも受け入れられてきているし、このスタイルもいつかは絶対に王道になっていくと思っていました。また、逆にこういったデザインのキャラクターにすることで、より強く“Made in Japan”をアピールできるのではと。ですからスタッフには「最初は厳しいかもしれないけれど、絶対に定着して成功するから大丈夫だよ」と言い張っていたんですが、最終的にはその狙い通りになって自分もホッとしました。 ダウンロードで販売するというコンセプトもうまく機能したんだと思います。たとえ時代を先取りした内容のゲームだとしても、時代が追いついたときに棚に残っている=商品が購入できるのは大きいです。パッケージ販売だとそうはいきませんからね。 ――その意味では1作目の『ファントムブレイカー』も、昨今の格闘ゲームに見られる簡単操作を先取りして採用していましたし、『バトルグラウンド』も発売後にインディーズでベルトスクロールアクションが数多く登場するなど、シリーズ自体が時代を先取りしてきたとも言えます。 盛: いいタイミングで企画を実現できたことが要因でしょうか。自分としては先取りしたという自覚はないのですが、ちょっとだけ早めのタイミングで出せたことが幸運でした。 ――マイキーさんは『バトルグラウンド』というタイトルに出会って、どの点に魅力を感じられましたか? マイキー: やはりゲームとしてわかりやすく、かつ格闘ゲームのような深みもあることでしょうか。あとは私が関わるにあたり、サカリPが幅広いマーケティングのやりかたを許してくれたのも魅力的でしたね 全世界同時発売&クロスプレイに込めた想い ――そして今回の『アルティメット』については、Nintendo Switchでの移植版『ファントムブレイカー:バトルグラウンド オーバードライブ』から考えると約7年ぶりのリメイクとなります。今回、Unreal Engine 5(UE5)にエンジンを変えてまで本作を作ろうと思った経緯をうかがえますか?: マイキー: そちらについては順を追ってお話ししますと、まず『ファントムブレイカー』シリーズの全IPをMAGES.さんからロケットパンダゲームズに移管してから、格闘ゲームである『ファントムブレイカー エクストラ』のアップデート版である『ファントムブレイカー オムニア』を発売しました。ですがそのときは、もともと使用していたエンジンが古かったため、オンラインでのマルチプレイは操作感があまりよくありませんでした。 それが悔しかったのもあって、UE5を採用してその問題を解決するともに、全世界で同時発売かつ、複数機種でのクロスプラットフォームを実現することで、“アルティメット”なオンライン体験を提供する作品を出そうと考えたのが企画の経緯です。 ――その作品として、“『バトルグラウンド』の決定版”をこのタイミングで作ろうと決意されたわけですね。: 盛: マイキーはずっと昔から「やはり全機種全世界同時発売がいいよね」と言っていて、そこは私も同じ気持ちでした。 マイキー: もちろん話題性や、プレイ人口の増加を狙った施策ではありますが、すごくキレイな言い方をすれば、プレイヤー視点から見て「なんでこうじゃないの?」と突っ込まれそうなところを改善していきたかったのです。クロスプラットフォームでのマルチプレイはその一環ですね。 盛: 私も趣味でゲームを遊ぶ時にボイスチャットなどを使いますが、プレイ中に「なぜこのゲームはクロスプレイができないんだ」といった話題になることが多いです。プレイヤーとしてはメーカーの規模や都合は関係なく、より楽しく遊びたいからクロスプレイを可能にしてほしいのに……という不満が出てくるのも当然ですよね。だから今回はそれに応えたかったという想いがあります。 ――たしかにプレイヤーにとっては、遊んでいる機種に縛られずに友だちといっしょにプレイできることは理想ですよね。ただ、制作過程での調整については、かなり苦労されているのではと予想されますが……。 盛: まさに、ただいま絶賛苦労中でして……(苦笑)。スペックがそもそも違う機種でのクロスプレイになりますので、なんとかがんばって制作中です。 マイキー: 経営でギリギリ攻められるラインと、プレイヤーが実現してほしいと感じるラインとで、うまくバランスを取りながら開発をしています。この規模のタイトルで、ここまで攻めている会社はなかなかない、と思いたいです(苦笑)。 ――たしかに『バトルグラウンド』がベースであるにせよ、全機種いっぺんにクロスプレイに対応して、さらにローカライズも同時に進めることを考えると、苦労が果てしないですよね……。あとはクロスプレイ以外に『アルティメット』で進化させようとしている点はありますか? 盛: 進化という部分で言えばやはり“集大成”がコンセプトですので、これまで構想としてはありつつもできなかったことを実装しています。たとえば敵キャラを全員使用できるようにする、新キャラを追加するなどですね。あとはリプレイ性を高めることにも力を入れていて、本作ではくり返し遊ぶことで獲得できる要素があり、それらがつぎのプレイに反映できるようになっています。 たとえば、クロスプレイでいろいろな機種のプレイヤーが集まるので、自分のプロフィールを目立たせることができる仕組みを用意しました。やり込みの結果として獲得したアイコンで自分のバナーにデコレーションすることで、ほかのプレイヤーにアピールできる機能です。同じようにやり込んでいるプレイヤーと親交を深めるための、コミュニケーションツールにしていただければと考えています。 2DゲームながらUnreal Engine 5を採用した最大の理由とは ――本作はプログラムにUE5を採用して、ゼロから作り直したということですが、どういった部分で違いを感じることができますか?: 盛: 本来、UE5は3Dゲーム向けのエンジンですが、それだけではなく、このエンジンのいちばんの恩恵は、EOS(Epic Online Services)というサーバーを使いクロスプレイを実現できることなのです。大手でないとできないようなクロスプレイを、私たちのような規模の会社でも実現できるので、それがUE5を採用した最大の理由でした。 ――なるほど、それゆえのUE5なのですね。 盛: 一方で2Dのゲームを作るにはUE5では相性の悪い部分があるので、そこに関しては自力でカスタマイズしています。とは言え、オンライン周りをEOSに頼ることができるのは非常に助かりますね。 そしていずれは、UE上でオンライン対応の2Dゲームを作りやすくするツールを揃え、何らかの形で他社さんと共有できたらいいなと考えています。2Dでアクションゲームを作りたいというインディーゲーム制作者はかなり多いと思いますから、オンラインクロスプレイ対応をあきらめていた企画に挑戦するチャンスにもなるのではないかと。 ――その結果、小規模でもオンライン対応のおもしろい作品がどんどん登場して、プラットフォームにかかわらず遊べるようになったら、ゲームファンとしてもうれしいです。: マイキー: 経営者目線としても、それにはいろいろと可能性を感じていますね。さまざまなクリエイターのハードルが下がればいいなと。また最近は同時に、すごくがんばってくれたチームや環境をサステナブル(持続可能)な形にするために、ゲーム業界がなにをしなければいけないかを考えさせられています。 とくに欧米系のゲーム会社は、コロナ禍の際にいろいろな投資ファンドからお金が流れ込んできて活発化したのですが、いまはそのときのアフターショックが来ており、海外では何万人単位でリストラなどが行われています。本来ゲーム業界はサステナブルな形でユーザーに向き合う必要があるのに、お金の流れがどうしても優先されてしまう。だからゲーム作りの選択肢を増やすと同時に、改めておもしろいゲーム作りを継続できるようにする必要があると感じています。 個性的な敵キャラクターを操作できるおもしろさ ――『アルティメット』ではオンラインCo-op(最大6人)、オンラインVS(最大8人)などのマルチプレイが可能となっています。あらためて本作のオンラインモードの見どころを教えてください。: 盛: 本作は基本システムとしてキャラクターが移動できるラインが2ラインあり、手前と奥を行ったり来たりしながら、たくさん登場する敵を派手な技で倒していく爽快さが魅力です。さらに、初心者でもボタン連打だけで十分楽しさが味わえる一方、たとえばガードが堅い敵を投げてガードを崩すという“格闘ゲーム的な駆け引き”も味わえる点が醍醐味です。それらをひと言で言うなら、“究極のごちゃごちゃ感”といったところでしょうか(笑)。 さらにオンラインCo-opでは、オフラインで育てたキャラクターを持ち寄って、“敵を蹂躙(じゅうりん)する楽しさ”が味わえます。そしてオンラインVSでは、対戦で負けて悔しいから勝つためにレベルを上げる→対戦→レベルを上げる……というように、どこかなつかしさを感じるゲームサイクルにハマっていただけるかなと。対戦ゲームは本来バランス取りが重要ですが、本作はそこをあえて割り切って“昔ながらの何でもアリ”というバランスを狙っており、そこがいまの時代のゲームにはない独自のおもしろさにつながっているんじゃないかと思います。 なお本作の追加要素として、マルチプレイにおけるプレイアブルキャラクターが増えており、ドラゴンなどの人間ではない巨大な敵も操作することが可能です。なかにはトラックやヘリコプターといった乗り物や、敵のタマゴ、なんてのもいて「これでどう戦うの?」というドキドキ感と、育てたらどんな戦い方ができるんだろうというワクワク感が味わえます。ぜひそれらのキャラクターを操作して、昔のゲームにあったような“羽目をはずしたぶっ飛び感”を堪能していただきたいです。 ――どんな特徴の敵キャラクターを操作できるのか楽しみです。: 盛: 敵キャラなのでもともと技のパターン自体は少ないのですが、たとえば大振りのパンチしか使えないキャラクターは、相手に当てることができれば大ダメージというバランスにしています。当てられるかどうかは腕しだいになりますが(笑)。なお、各キャラクターはレベルが上がると攻撃力、防御力、素早さのパラメータを割り振って伸ばせますが、まんべんなく伸ばすよりも、なにかに特化させるとよりおもしろいかと思います。 ――メチャクチャスピードが遅いけれど、パンチさえ当たれば一発逆転を狙えるという、ロマンあふれるキャラクターが作れそうですね(笑)。 盛: 逆にスピードがメチャクチャ速いけれど、一撃が軽すぎるキャラクター、といったパターンもありますね。そのかわり、空を飛んでどこまでも逃げられる、みたいな。そのように敵キャラクターについては、攻撃パターンが少ないウィークポイントを、逆にネタとして活用するようにしています。 ――ちなみにメインキャラクターに関しては、どのような方向性でバランス調整を行っているのでしょうか? 盛: メインキャラクターは攻撃パターンが豊富なので、バランスはそれなりに調整しています。ただどちらかというと爽快感優先ですね。さらに新技を追加しているので、過去作をある意味正統進化させた形になります。 ――ここまでシステムやキャラクターの変化をうかがってきましたが、『バトルグラウンド』から『オーバードライブ』に変わったときより、今回の『アルティメット』のほうが進化の度合いがかなり大きいという印象を受けました。 盛: そうですね。だいぶそれについては意識しました。開発スタッフには苦労ばっかりかけているので「追加しすぎ!」と怒っているかもしれません(苦笑)。作っても作ってもどんどんゴールが離れていくので、そこは本当に申し訳ないと思っています。でも、私やマイキーとしては“集大成感”を出したいこともあり、追加したいと考えていた要素を“全部盛り”にしようと決めていました。 ――なお、先ほどはマルチプレイの魅力をうかがいましたが、ひとりプレイの魅力についてはいかがですか? 盛: 本作ではひとりでプレイする際も、残り3人をNPCに操作させることで、疑似的に4人プレイが体験できます。しかも、前作までは1回のプレイで1キャラしかレベル上げができませんでしたが、本作ではNPCが操作する3人もレベルアップするため、育成がだいぶスムーズになりました。オンラインプレイに自信がない方は、まずこちらで4人プレイの雰囲気を味わっていただき、キャラクターが育ったらオンラインに一歩踏み出していただくのもありかと思います。 ――そういう意味でも『アルティメット』は間口が広くなっていますね。なお初心者視点での質問として、本作に触れるにあたり、それまでの『ファントムブレイカー』の物語を知らなくても問題ないでしょうか?: 盛: 本作は『ファントムブレイカー』のいくつもある並行世界のひとつをスピンオフとして描いています。ですので、本作から入っていただいて問題ありません。そしてプレイ後にこの世界観に興味を持っていただけたら、格闘ゲームの『ファントムブレイカー オムニア』などもプレイしていただければ、「ああ、こういう形でつながっているのね」と、世界設定への解像度がより高くなると思います。 プレイヤーが望んでいた“集大成”をプレイヤーのもとへ ――本作では、ガールズロックバンド“:ファントムブレイカーズ”によるリミックス楽曲とオリジナル楽曲を選択可能とのことですが、リミックス楽曲の魅力をお聞かせください。 盛: これは“ファントムブレイカーズ”のプロデューサーであるマイキーが語ったほうがいいですね。 マイキー: じつは常々、「ゲーム音楽はかっこいいな」とか「この曲好きだな」と思っていても、その“好き”という気持ちを向ける先がなかなかないと感じていたんです。そんな中で本作の資料見ていたら「せっかくこんな素敵なキャラクターがいるし、彼女たちにバンドを組んでもらって、そのバンドがゲームの楽曲を作るという形もおもしろいのでは?」、「やがてはその音楽からゲームに入るファンもいるのでは?」と考え、今回“ファントムブレイカーズ”を結成しました。 そして実際にバンドを組んで活動をスタートし、楽曲をゲームに採用したところ、本当にキャラクターがバンド演奏している感じがして、想像以上に素晴らしかったんです。「ゲームは知らないけど音楽がいいからなんか楽しめそう」というようなアプローチのやり方もできそうで、手応えを感じています。いまでは私のメインプロジェクトと言っても過言ではないですね(笑)。 ――たしかに、昨今はアニメでも劇中のバンドが実際にライブを行い、そこからさらに人気が広がっていくケースも多いですよね。 盛: 私もMAGES.にいたころからゲームキャラクターのライブや配信をやりたくて、キャラクターの3Dモデルを使ってなにかできないかと模索していました。そうしたらマイキーも同じような考えだったらしく、ならば今回の『アルティメット』で挑戦しようかと。歌ありのオープニング、エンディング、PVのイメージソングもファントムブレイカーズによるものです。 いずれも使っている音とバンドの構成楽器をちゃんと合わせています。なかでもバイオリンの音色を組み合わせた曲がすごくよくて……。それをゲームのキャラクターが演奏していると考えると熱いシチュエーションですし、ファンならばそれに共感してくださるんじゃないかなと。 ――あとはかなり豪華な限定版となる“コレクターズセット”が発売されますが、こちらの注目ポイントを教えてください。 盛: コレクターズセットにはアートブックやサウンドトラックCDを始め、B2タペストリーなどの豪華グッズが付属します。いちばんの推しはアートブックですね。今作はイラストがすべて新規描き下ろしで、点数も多いので、それをまとめてじっくり見るのに最適です。また、“ファントムブレイカーズ”が演奏する楽曲を含め、新規楽曲やリミックス楽曲を含む2枚組のサウンドトラックCDも注目ポイントです。B2タペストリーも自室に飾っているのですが、かわいく仕上がっているので期待してください。 さらに通常版やコレクターズセットには、“仁科美琴『PBBG Ultimate』版フィギュア”が同梱されたバージョンも発売されます。すごくいいデキだと自負していますので、ぜひお手に取ってみてほしいですね。 ――ちなみに001という数字が付いていますが、ほかのキャラクターもフィギュア化される予定がありますか……?: 盛: 出したい願望はあるんですが、さすがに3ケタは多すぎたかも(笑)。 マイキー: へんな伏線を張ってしまい、回収できるのか自分もハラハラしています(笑)。 ――『アルティメット』の発売がこれからで時期早々ですが、バンドの“ファントムブレイカーズ”を含めて、『ファントムブレイカー』シリーズを今後どう展開させていたいとお考えですか? 盛: まずは『アルティメット』をマスターアップさせるために全力を尽くします。発売後もプレイヤーの要望などがあれば、それに応じたアップデートを継続していく予定です。遊んでいただい方はご意見をよろしくお願いいたします。そしてこれは勝手な希望ですが……アニメ化とかしたいですね。 マイキー: 私はファントムブレイカーズのライブをやりたいですね。武道館とか?(笑) 盛: あいだが飛びすぎじゃない?(笑) マイキー: それは飛躍しすぎかもしれませんが、せっかく音楽と向き合うならば、ちゃんと音楽を作っていきたいですね。ゲームは映像や音、物語といったすべてのメディアに触れており、なおかつユーザーがインタラクティブにインプットできる唯一のエンターテイメントです。だからそれらの要素すべてをMAXまで詰め込めたら、相当スゴイ体験ができるだろうと考えています。 ――続いて、ロケットパンダゲームズとしての今後の展望をお聞かせください。 マイキー: 私たちは『オムニア』を発売してこれから『アルティメット』を発売しようとしていますが、これは“ホップ、ステップ、ジャンプ”のステップに当たると感じています。それらの作品を踏まえ、その後どうやって“ジャンプ”に繋げるべきかを考えていると、けっこうワクワクしますね。 いまはジャンプする途中にいる気分で、今後はよりおもしろいことや、いろいろなファンが求めているものを経営的にも解析したうえで、実現していけたらと考えています。 盛: 『オムニア』と『アルティメット』は過去のリソースを活用しつつのリリースですが、つぎのジャンプに関しては完全新作でやりたいと考えています。ただ、それが『ファントムブレイカー』シリーズになるのかは未定です。マイキーと合流してから1年も経っていませんが、すでにいろいろな方とお話をさせていただいて、開発と並行しながら企画の芽をいくつも育てています。いまはどの芽にいちばん水を与えて育てようかと迷っているところですね。 ――では最後に、発売を待っているシリーズのファンと、本作で初めて『ファントムブレイカー』シリーズに触れる方に、それぞれメッセージをお願いします。 盛: まず新規の方については、先ほどもお伝えしたように誰でも楽しめるわかりやすいゲームであり、昔ながらのゲームが持つ“びっくり箱的な要素”も入っています。最近ゲームから離れ気味の方も楽しめますし、オンライン対戦の入門用としても最適なので、ぜひお買い求めください。 そしてシリーズファンの方には、今回はエンジンを含めて多くを刷新していますが、プレイフィールなど大事な部分は監修し、継続すべき部分はしっかり残していますとお伝えしたいです。また、旧キャラクターには新技を追加していますし、『オムニア』で登場したキャラクターも使うことができるなど、ボリュームもかなり増えました。担当しているプランナーも『ファントムブレイカー』シリーズをよく理解しており、新たな発想でさまざまな遊びを用意しようとがんばってくれています。版権元が変わっても心配はありませんので、期待しつつ発売をお待ちください。 マイキー: 『ファントムブレイカー』は3世代のゲームハードを跨いでリリースしてきたシリーズです。その中で2Dアクションの集大成となる『アルティメット』では、皆さんが想像していた“正解”となる内容をご提供できると思います。さらにマルチプレイをはじめ、どの機種で遊んでいてもちゃんとアップデートが行われる環境を用意しました。私たちにとっても成長できた作品ですし、皆さんも「そうそう。こういうバージョンで遊びたかったんだよ!」と思っていただけるのではないかと思います。ぜひ実際に遊んで、それを感じ取っていただけたらうれしいです。