「スノードロップの初恋」に出演している小野花梨

「スノードロップの初恋」フジテレビ系　火曜午後11時 死に神と恋愛する役。それを聞いたとき、「どういうこと？　大丈夫かしら」と不安を抱いた。だが、台本を読み、「なじみがない設定でも体にスーッと入ってくる展開で、感情の描写がとても巧み。それを体現することが待ち遠しかったです」と撮影前の心境を語る。 【第１話場面より】望月奈雪（小野花梨）は、死に神の片岡朔弥（宮世琉弥）に突然キスを迫られる 演じているのは、レストランチェーンで経理を担当する望月奈雪。両親の離婚後、ともに暮らしていた父親を亡くし、弟の陸（岩瀬洋志）を育てるため、自分の夢も自分を愛することも忘れてしまった女性だ。そんな奈雪の前に人を愛したことがない孤独な死に神の片岡朔弥（宮世琉弥）が現れ、引かれ合っていく。 「人って未知の世界に恐怖を覚えがち。私がそうなんですけれど。でも、死に神に対しては、恐怖心という負の感情より困惑かな。そういうところから奈雪の感情の変化を表現したいです」 朔弥が人間界に降り立った目的は何なのか、奈雪が朔弥と出会うことで、自分らしく生きることをどのように見いだしていくのかなども見どころだが、「一番は、ピュアな者同士の不器用で愛らしくて、視聴者がキュンキュンする恋模様。そこを楽しんで」と語り、「奈雪は視聴者にとって共感性の高いキャラクター。弟や亡き父親を思う気持ちも心に染みると思います」と付け加えた。 平成18年、8歳のときに子役デビューした。地道に作品に出演し続け、ドラマ視聴者に彼女を印象づけたのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」（令和3～4年）。初代ヒロイン（上白石萌音）の幼なじみで豆腐店の看板娘を好演した。知名度を上げたが、「景色が大きく変わることはなくて、お仕事は全て地続き。ゆっくり歩ませていただいています」と冷静だ。 自身にとって転機となり、「明確にこの仕事で生きていきたい」と思わせてくれた作品は、教育現場での難問に立ち向かう中学校教師（長谷川博己）を描いた「鈴木先生」（平成23年、テレ東）だという。自身は生徒役で出演した。それまでは積極的に何かをする姿勢ではなかった。だが、その現場はスタッフたちに厳しさの中に愛情があり、「努力を見逃さないし、頑張った分だけ褒めてくれた。表現することの楽しさを教えてくれた。あのチームがあったから、今の私がいると思います」と感謝の念を抱く。 9月後半まで続いた猛暑も収まり、本作の撮影は野山色づく過ごしやすい季節。「自然の優しさに浸りたい。紅葉狩りやキャンプができたらいいな。リフレッシュしながら撮影に臨みます」。ほんわかした笑顔が周囲をなごませる。