テンハフは抗ったが新執行部『INEOS』はすでに新監督を?
「われわれは多くの負傷者を抱えているが、チャンスもあった。両チームの差はほんのわずかだ」
マンチェスター・ダービーに1-3の敗北を喫した後、ユナイテッドのエリク・テンハフ監督は強気だった。「今回の敗戦でシティとの差が改めて証明されたのではないか」という報道陣の質問に抗ってみせた。
たしかに多くの負傷者を抱えている。リサンドロ・マルティネス、ルーク・ショー、ラスムス・ホイルンド、メイソン・マウント、アーロン・ワン=ビサカ……。タイレル・マラシアに至っては全休だ。「ベストメンバーで闘えれば」とでも考えていたのかもしれない。
さらに、「ポゼッションがすべてではない」とも語っている。だからこそブルーノ・フェルナンデスを偽9番に置き、彼のキープ力とビジョン、なおかつアレハンドロ・ガルナチョとマーカス・ラシュフォードのスピードを基軸とするカウンターに、活路を見いだそうとしたのだろう。
負傷者の続出とラインアップをふまえればやむなしか。
ただ、ゲームプランが徹底されていなかった。マイボールになった際、つなごうとする選手も少なくなかった。パスなのかクリアなのかハッキリせず、いとも簡単にセカンドボールを拾われる。
シティの浅いDFラインに対し、ガルナチョとラシュフォードが裏抜けを繰り返すわけでもなかった。ともにプレーエリアが非常に低く、ラシュフォードは時おりチャンスの糸口をつかみそうになりながら、一対一で勝てなかったり、ファウルをもらおうとしたり……。
ゴール期待値:0・26対3・32 ポゼッション率:23対77 シュート数:3対27 枠内シュート数:1対8
データでも力の違いをまざまざと見せつけられている。
また、フィジカルは水準以上だがスキルが著しく不安で、だれもが認めるスキルを持つ者は肉体的に軟弱なタイプが多い現状には首を傾げるしかない。サー・アレックス・ファーガソン体制下でキャプテンを務めたロイ・キーンも、「いったい、ユナイテッドはどこに向かっているのだ!?」と嘆いていた。