故坂本龍一さんの「Opus」がグラミー賞にノミネート 最後のピアノソロコンサート作品、受賞すれば2度目
米音楽界最高の栄誉とされる第67回グラミー賞の各賞候補が8日(日本時間9日)に発表され、昨年3月に死去した音楽家、坂本龍一さん(享年71)の最後のピアノソロコンサート作品「Opus」が最優秀ニューエイジ、アンビエント、チャント・アルバム賞にノミネートされた。受賞すれば2度目となる。発表・授賞式は来年2月2日に行われる。 「世界のサカモト」は死してなお、作品の中に生き続ける。 グラミー賞は音楽界で最も権威ある賞として全世界の音楽ファン、ミュージシャン、音楽関係者が注目する米エンタメ界最高峰の栄誉。昨年3月に死去した坂本さんの最後のピアノコンサート音源を収録した「Opus」が今回、「最優秀ニューエイジ、アンビエント、チャント・アルバム賞」の部門で候補作に入った。 この部門は環境音楽やイージーリスニング、民俗音楽など主にインストゥルメンタルで演奏され、「癒やし系」といわれる特徴も持つ作品が対象。日本の音楽家では、喜多郎氏(71)が2001年に受賞(当時はニューエイジ・アルバム賞)している。 「作品」を意味する「Opus」は、坂本さんががんで闘病中だった22年9月、NHKのスタジオでピアノ演奏した20曲が、息子の映像作家、空音央(そら・ねお)氏によって音楽とモノクローム映像で収録。故人が「遺すべき曲」として選んだ映画「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲、映画「ラストエンペラー」のテーマ曲など名曲がズラリと並ぶ。 映像はドキュメンタリー映画として5月に一般公開され、8月に米国でアルバムとして配信リリース。日本で12月11日には豪華版ボックスのほかアナログ盤とCD、DVD、ブルーレイの5種類の発売を控えている。 坂本さんは映画「ラストエンペラー」の音楽で1988年の米アカデミー賞で日本人として初めてオリジナル作曲賞、そして89年のグラミー賞で最優秀オリジナル映画音楽賞を獲得した。2014年に中咽頭がんを患ったが、治療中の17年にも映画「レヴェナント 蘇(よみが)えりし者」の音楽でグラミー賞の候補入りを果たしている。 20年6月にステージ4の直腸がんと診断され、21年10、12月に両肺に転移したがんの摘出手術を受けるなど闘病生活を送っていたが、音楽活動への意欲は衰えず、22年12月に配信コンサートを行うなど晩年まで活動を続けていた。世界的音楽家が遺した〝最高傑作〟といえるアルバムの受賞に大きな注目が集まる。