「年商1億」「食べログ百名店の常連」の有名ラーメン店が突然の「閉店発表」拡大の中で店主が感じていた「虚しさ」と、再出発で掴んだ「幸せ」とは?
桐谷さんはカップ麺の監修やカラオケ店のメニュープロデュースなど、新たなことにもチャレンジしている。店舗運営以外の活動で売り上げを作ることによって週3営業を保つことができるのだ。 「疲れた表情で営業したくないというのが一番でした。毎日営業するとなると仕込みの量もとんでもないことになるので、週3営業にできるのはとてもありがたいです。 計算したら週30時間も仕込みをやっていることになるのですが、仕込みだけの日を作れることによってしんどさやつらさがなくなりました。仕込みは僕にとっては小麦と遊んでいる時間なので、至福の時間です」(桐谷さん)
「桐麺」の人気から、今では加西市役所が市を挙げてラーメンを盛り上げている。ラーメンマップを作り、ラーメンを食べに来たお客さんに観光を促すなど新たな動きも出てきている。 「何より加西の人たちが食べに来てくれるのが嬉しいです。地元のおじいちゃんが朝の散歩の時に店に寄って名前を書いていき、昼に食べに来てくれます。みんな朝早くに来て記名してくれるから、いつも1巡目は地元の人ばかりです。これからは町に貢献していけるラーメン屋になれればと思っています」(桐谷さん)
名物「桐玉」は加西市のふるさと納税品に今年の秋から登録予定だという。 大阪のお店の存続やほかの事業がなければ、この形では営業できていなかったはず。そういった意味でも「桐麺」はラーメン店の新たな生き残り方を示してくれている。 ■その他の写真
井手隊長 :ラーメンライター/ミュージシャン