大病乗り越えてたどり着いた聖地 白樺学園・阿部匠真 初戦敗退も「諦めずに頑張ってきて良かった」
「全国高校野球選手権・1回戦、創成館1-0白樺学園」(11日、甲子園球場) 頭の左右には大きな手術痕が残る。大病を乗り越え立った夢舞台。白樺学園・阿部匠真内野手(3年)は涙をこぼした。 「勝利できず悔しいですが、憧れの舞台でできて光栄。諦めずに頑張ってきて、良かった」 昨秋、練習でのランニング中に突然意識を失った。すぐに目を覚ましたが、右半身が動かない。脳神経外科を受診すると、国の指定難病「もやもや病」と診断された。脳に血液を送る太い血管が細くなり詰まる病気。計約22時間に及ぶ開頭手術を受けたが、後遺症で言語障害が残った。 約3カ月の入院生活を含め学校にも通えない日々。「正直、選手として戻れないかもしれないと思いました」。そんな中、仲間の存在が支えになった。「高校のみなさんに応援動画を作っていただいたり、野球部3年生のグループラインで励ましの言葉をもらいました」。多くのエールを力にリハビリに励み、グラウンドに帰ってきた。 試合への出場はなかったが、最後までベンチで前向きな言葉を出し続けた。「生きていること、野球をしていることは自分一人じゃできなかった。感謝したい」。憧れの聖地での経験を糧に、前を向いて進んでいく。 ◆阿部 匠真(あべ・たくま)2006年4月12日生まれ。北海道札幌市出身。173センチ、67キロ。右投げ右打ち。小学1年時から軟式の北白石ワイルドナインで野球を始め、北白石中では札幌南リトルシニアに所属。白樺学園では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒6。