<大映ドラマの系譜>「スクール☆ウォーズ」 80年代を代表する名作 “イソップ”の切ない展開
◇学園ドラマならではの魅力
学園ドラマならではのポイントとして、数多くの若手俳優たちの奮闘ぶりが挙げられるが、本作でも誰もが知る大御所たちがみずみずしい演技を披露している。元不良のラグビー部キャプテン・大木大助役の松村雄基さん、賢治を挑発する不良の水原亮役の小沢仁志さん、森田光男(宮田恭男さん)のガールフレンドの富田圭子役の伊藤かずえさん、初代マネジャー、山崎加代役の岩崎良美さんなど、今も息長く活躍している俳優たちが多数出演していた。
一方、脇を固める個性的な登場人物は80年代のテレビドラマおなじみのキャスト陣が務めた。下川辰平さん、名古屋章さん、坂上二郎さん、梅宮辰夫さんと、今は亡き名優たちがさまざまなポジションで盛り上げた。なお、和田アキ子さんも梅宮さんと夫婦役で共演しており、1990年の続編でも役どころは異なるものの夫婦役で出演している。また、賢治の妻・節子を演じた岡田奈々さんのキュートな仕草に心を奪われた人も多かったのでは。
◇昭和ならではの“名シーン”
本作を語る上でやはり外せないのは、高野浩和さんが演じた“イソップ”こと奥寺浩の存在だろう。痩せた体格のため、イソップ寓話の「アリとキリギリス」から“イソップ”とあだ名されたが、優しい性格とラグビー愛あふれる前向きな姿勢で視聴者の支持を集めた。しかし脳腫瘍に冒されており、物語の中盤で短い人生を終える……。イソップはライジング・サンのマークと新しいユニホームのデザインを考案するが、形見ともいえるユニホームは終盤にクリーニング店の火事で焼けてしまい、全国優勝は昔のユニホームで…というその後の展開も切なさを残した。
相模一高に大敗した後、喝を入れられた光男が涙ながらに「悔しいです!」と叫ぶと賢治が「俺は今からお前たちを殴る!」と部員たちをぶん殴っていく作品屈指の名シーン。ザブングル加藤さんのモノマネでも知られ、「今だったら絶対できない」と折に触れて出演者が語っている。余談だが、当時小学生だった記者も確かに感動はしたものの、あまりの理不尽さに「運動部はやめとこ…」と思ったものだった。【ドラマ取材班・T】