年金が少ないので働かなくてはなりません。収入が多いと年金が減らされるって本当ですか?
老後の生活資金が不足して働き続けることを検討している方のなかには、働き始めると年金が減ってしまうのではというジレンマに悩まされている方が少なくないようです。 本記事では、働きながら年金を受け取る場合の収入と年金の関係について、詳しく解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
収入が多いと年金が減らされる
60歳以降も働いて厚生年金保険に加入し、給与収入(総報酬月額相当額)と年金月額の合計額が一定額を超えた場合、年金が調整される制度を「在職老齢年金」と呼びます。 この在職老齢年金制度は、年金を受け取りながら働く人々が一定の収入を超えると、受け取れる年金が減額されるという仕組みです。具体的には、年齢によって基準額が異なり、その基準額を超えると年金が減額されます。 また、70歳以降も老齢厚生年金を受けている人が在職して厚生年金保険の被保険者である場合、給与収入に応じて[老齢厚生年金と給与の合計が月50万円(令和6年度)を超える場合]年金の一部または全額が支給停止(減額)となる可能性があります。 このように、年金を受け取りながら働く場合は、収入の総額によって年金が減額される可能性があることを理解しておくことが重要です。次に、具体例を見ていきましょう。 ■給与25万円(月額)、賞与30万円(年間)、老齢厚生年金10万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)の場合 給与:25万円(月額) 賞与:30万円(年間) 老齢厚生年金:10万円(月額) 老齢基礎年金:6万円(月額) 給与と賞与を合計した月額は次のように計算されます。 ・賞与の月額換算:30万円 ÷ 12 = 2万5000円 ・総報酬月額相当額:25万円 + 2万5000円 = 27万5000円 さらに老齢厚生年金10万円を加えると、月額の合計は37万5000円となります。支給停止調整額の50万円以下のため、年金は全額受給できます。 ■給与40万円(月額)、賞与120万円(年間)、老齢厚生年金14万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)の場合 給与:40万円(月額) 賞与:120万円(年間) 老齢厚生年金:14万円(月額) 老齢基礎年金:6万円(月額) 給与と賞与を合計した月額は、次のように計算されます。 ・賞与の月額換算:120万円 ÷ 12 = 10万円 ・総報酬月額相当額:40万円 + 10万円 = 50万円 さらに老齢厚生年金14万円を加えると、月額の合計は64万円となり、支給停止調整額の50万円を14万円超えています。このため、超過分(14万円)の2分の1である7万円が支給停止となり、月額換算では70万円だった月収は63万円に下がります。