花咲徳栄・高森、充実の1失点完投 ベンチの声が力に センバツ交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第1日の10日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であり、第1試合は花咲徳栄(埼玉)が大分商を3―1で破った。 【大分商-花咲徳栄】熱戦の様子を写真特集で 新型コロナウイルス感染拡大の影響で春夏の甲子園大会が中止となる中、実現にこぎつけた交流試合。優勝チームがいない異例の「甲子園」の意義を測りかねていた人も多いはず。だが、そんなもやもやを花咲徳栄の左腕・高森が1失点完投の快投で吹き飛ばした。 一回表、まっさらな甲子園のマウンドに立った時、高森は違和感を覚えたという。昨夏の甲子園出場時と違い、観客もいなければ歓声もない。ただ、以前は耳に届かなかった味方ベンチの声が聞こえ、「それを活力にできた」。 気力が充実し、立ち上がりから右打者の外角への制球がさえた。先頭・渡辺温への初球は、外に逃げるツーシームでファウルを誘い、ほぼ同じコースに直球を投げ込んだ。最後は再び外へのツーシームで見逃し三振。これでリズムに乗ると、一回は3者連続三振と最高のスタートを切った。 味方のミスで1点を失った直後の六回2死二、三塁では、捕手の中井が「今まで受けてきた中で一番」とたたえた内角低めへのスライダーで空振り三振。そのまま最後まで突っ走った。 花咲徳栄は校内で新型コロナウイルス感染者が出たため、7月23日から月末まで臨時休校になった。さらに埼玉独自大会の初戦は8月12日と、練習不足に今季公式戦初登板という二重の不利もはねのけた。高森は「センバツが中止になった時は落ち込んだ」と振り返るが、交流試合の開催が決まり、開幕試合で投げることになると「歴史に残る試合で良い投球をして、花咲徳栄の名をたくさんの人に知ってもらおう」と心に決めた。そんな思いをかなえる、126球だった。【岸本悠】