「Eye Love You」で沼堕ち女子続出の韓国俳優・チェ・ジョンヒョプの初単独主演ドラマを大紹介<社長をスマホから救い出せ!~恋の力でロック解除~>
韓国ドラマ「わかっていても」での主人公を一途に愛する幼なじみのYouTuber役や、「無人島のディーバ」での寡黙だが主人公を静かに支えるプロデューサー役で、ジワジワ人気となっていたチェ・ジョンヒョプ。現在「Eye Love You」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)で、“犬系年下男子”テオ役を演じ、韓国ドラマファン以外の女子も沼堕ちさせまくっている。そんな彼が2022年に主演した韓国ドラマ「社長をスマホから救い出せ!~恋の力でロック解除~」が、女性チャンネル♪LaLa TVにて2月19日(月)から放送される。彼にとって単独初主演となった今作は、ある事件をきっかけにスマホの中に閉じ込められてしまったIT企業の社長を、そのスマホを偶然拾った就活生のインソン(チェ・ジョンヒョプ)が外に出す為に奔走するというファンタジックな設定のサスペンスコメディ。この作品の魅力と、チェ・ジョンヒョプについて解説する。 【写真】「社長をスマホから救い出せ!」人物相関図 ■ビンボー就活生が、いきなり大企業の社長に!? 地方の果樹園の息子・インソンは、アルバイトをしながら俳優を夢見ていたが鳴かず飛ばずのビンボー生活…。夢を諦めて就職活動を始め、韓国屈指のIT企業・シルバーライニング社を受けるが、面接では「キャリア不足」と不合格に。そんな中、彼は裏山で落ちていたスマホを拾う。すると、そのスマホから誰かが彼に話しかけてくる。スマホの声はシルバーライニング社の社長・キム・ソンジュ(パク・ソンウン)だと名乗り、「何者かに襲撃され、魂だけが携帯電話の中に入ってしまった。外に出られるように助けてほしい」と訴えてきた。 荒唐無稽すぎる話に、最初インソンは相手にしなかったが、報酬の手付け金として1億ウォンが彼の口座に振り込まれ、社長の話を信じてみる事に。救出できた際には10億ウォンの報酬で契約を結び、インソンはキム社長の代理としてシルバーライニング社の新社長となる。 スマホのキム社長からの指示に助けられながら、俳優時代のスキルを駆使して社長業をこなす傍ら、社長秘書のセヨン(ソ・ウンス)と共に、事件の犯人捜しと社長救出に奔走する。そして次第にキム社長の指示が無くても自分で考え、操り人形ではなく本当の社長として業務を遂行していく。この作品は、インソンの成長物語でもあるのだ。 コメディ要素あり、セヨンとのラブラインあり、で楽しく観られる一方、軸はしっかりしたサスペンス。あっと驚く事実も隠されていて、最後までドキドキな展開の良作だ。 ■インソンは純粋で純朴でまっすぐな人物 チェ・ジョンヒョプは、インソンについて「“インソン”(人柄という意味)という名前の通り、純粋で純朴なまっすぐな人物」と説明。彼のそんな性格が周りの人物の心を動かし、協力者も増えていき、データ至上主義だったキム社長も次第にインソンに感化されていく。 インソンを演じる上で気をつけた点は、そんな純粋さや純朴さを出す事。そして「普通、就活生は空気を読む事が多いと思いますが、彼はそうじゃなくてとんでもない面もある。居そうで居ない就活生。“社長”という職業を経験した事が無くて、気が利くといけない感じ」を表現したそう。また、「何事にも本気な人物で、誰に対しても“汚れていない点”と人柄に重点を置きながら演じました」と語っている。 インソンと自分の似ている点は、「目標に向かって努力を続けて、常にその事を考えているところ」だとか。そして、一番記憶に残るシーンとして、入社試験の最終面接で落ちて、友人とコンビニの前で酒を飲むシーンを挙げている。「僕もオーディションを受けて結果を待っている間に、“受かったかな?落ちたんだろうな…”と色々考えました。落ちた時は、漢江をひとりで歩いたり、ひとり酒をして走ったりボーッとしたり…。インソンが不合格通知を受けて、ひとりで歩き回ったり、雨に降られながらバスに乗ったり、アパートを追い出されて次の部屋を探す姿が、実際の僕と少し似てますね」と共感していた。 ■スマホに向かっての演技で大苦労 一番苦労したのは、スマホ相手の演技。キム社長の声は後から録った為、ただのスマホに向かって演じなければならず、初めての経験に戸惑い、最後まで慣れなかったが、大きな勉強になった、と振り返っていた。「監督に毎回“(社長役の)パク・ソンウン先輩がどうするか分からないのに、こうしてもいいですか”と尋ねながら演じました。先輩は、僕が作った枠組みの中で演じなければならないので、先輩のプランと方向性が違っていたら…と心配でした。でも監督の、先輩は全て合わせてくれるノウハウがある方なのでやりたいようにやれ、との言葉を信じて演じました」。 チェ・ジョンヒョプは、パク・ソンウンがどのように演じたのかをオンエアを観て知り、もちろん素晴らしい演技に感銘を受けると同時に、「先輩がこんな風に演じられたんだったら、僕ももう少しこうすればよかった」と、心残りも生まれたそうだ。 常に謙虚な彼にとっては自分の演技について残念な部分もあったそうだが、大きなターニングポイントとなった作品になった。単独主演として引っ張っていかなくてはならないプレッシャーもあったが、監督が彼の意見を初めて聞いてくれ、自分の全てを出して自由に演技できたんだそう。そして、それまでは自分の役柄やセリフで精いっぱいだったが、全体的な流れや役柄の周辺の事柄、周りの人物の事など、幅広く考えられるようになったとの事。俳優としても大きく成長した。 ■タイと南アフリカに留学経験あり チェ・ジョンヒョプは、1993年生まれで今年31歳。一風変わった学生時代を送っている。中学生の時、海外旅行に行っている友人たちが羨ましく、「僕も行きたい」と駄々をこねたところ、両親がパスポートを作ってくれてすぐにタイに家族旅行に行くことに。喜びもつかの間、両親がそのまま「2週間タイに居ろ」と言い、現地のインターナショナルスクールに合格したら帰ってきていい、と命じられた。そして、見事に合格したのだが、いざ合格したら帰るのがもったいない気持ちになり、タイでの留学生活が始まった。 タイで1年間暮らした後、父親が「お前は、韓国で暮らす奴ではない」と、もっと広い所で多く経験をさせようと、両親の知り合いが居る南アフリカに留学する事に。南アフリカでは現地の普通の学校に入学した為、クラスメートからつらい目に遭ったりもして、ひとりで寂しい想いも多かったそうだ。そんな経験から言動に慎重な性格になった。 そして21歳まで南アフリカで過ごし、知人の紹介でモデルに挑戦する事に。ウォーキングなどのレッスンを受け、オーディションも受けたが、186cmの彼は現地では一番小さく、そのせいか落ちることが多かったそう。それでも意地で頑張っていたが、「僕は韓国人なんだから、韓国でモデルに挑戦してみよう」と思って帰国した。 「モデルになりたい」と両親に話したところ、「そんな為に留学させたんじゃない!」と両親は大反対。海外生活は自分が望んだのではないが、モデルは自分の意志でしたいと思った事なので諦められず、「僕が好きな事をするんだから後悔なんかしない」と両親を説得したが、いい顔はされなかった。 ■モデルから演技の道へ 反対を押し切って韓国でモデルを始めたところ、すぐに仕事がやって来たそう。そして、経験を積む中で、アメリカのドラマのオーディションを受ける機会がやって来た。これには落ちたが、自然に「あ、これだ」と興味が出て、もっと勉強したいと思うようになり演技の道に進んだ。 そして、2016年にウェブドラマで俳優デビュー。いくつかの作品に出演した後、2019年に「ストーブリーグ」で、有望株だがイップスに悩む新人投手・ユ・ミンホ役をオーディションで勝ち取り、地上波ドラマデビューを果たした。それまでオーディションに落ち続けていた彼は、カフェで合格の知らせを聞き、人目もはばからずに大泣きしたそうだ。そして、両親もやっと彼の進んだ道を認めてくれた。 スポーツが得意な彼だったが、それまで野球はほとんど見た事も無く、「一塁って何ですか?」というほど無知だったそう。彼は一から野球を勉強し、ユ・ミンホは大谷翔平を意識して作られた役だった為、大谷選手の動画も見まくって投球スタイルなどを研究した。努力の甲斐あってピッチャー役を見事に演じ、ドラマの大ヒットもあり、道で会った人々に「肘は大丈夫?」と、役柄と混同した心配をされるほどだった。 ■「良い人になりたい」 台本読みの時に後列ではなくテーブルにつきたい(メインの俳優の位置)と思い、それが叶った後は、監督の席の隣に座りたい(主役の位置)と願い、宣伝ポスターに載りたい、と目標に向かって努力しながら1つずつクリアしていった彼は、「時速493キロの恋」でW主演を射止め、「2022年KBS演技大賞」の新人演技賞も受賞した。 「今はどんな役割であれ、準備する期間さえ十分なら全部やってみたい。そして、今の自分に合うジャンルを探していく過程で、もっとやりたい事をする為に多方面で挑戦してみたい」と言うチェ・ジョンヒョプ。そして、撮影現場でも人間としても、「一緒に居たい、一緒に作品を作りたい」と思われる人になりたい、悪意が無く、自分が主張する事はしながら、何かを暖かく包容できる「良い人」になりたいと努力しているそう。そんな彼の真摯な姿勢は、役を通して伝わってくる。これからも掲げた目標に向かって努力を続け、さらに良い俳優、良い人になっていくチェ・ジョンヒョプから目が離せない。 ◆文/鳥居美保