学校のプールがなくなる!?水泳授業に公営・民営プール活用 老朽化で「使用断念」も(鳥取・島根)
山陰中央テレビ
学校の水泳授業が大きく変わろうとしています。老朽化が進む学校のプールを廃止し、学校外のプールを活用するケースが全国で増えています。背景には、改修コストの問題や教員の負担軽減など様々な理由があるようです。 16日に開かれた米子市議会の民生教育委員会。 米子市市教委の担当者 「公営や民営プールの活用へと転換していく」 市の教育委員会から、今後は市立の小中学校においてプールの新築及び改築は行わず、来年度以降は水泳の授業で学校外のプールを活用するという基本方針が示されました。水泳の授業で、なぜ学校のプールを使用しないのか。市教委は現状で抱える3つの課題を説明しました。 1つめは「安定的な水泳学習の実施」で、猛暑や豪雨などにより学校の屋外プールを使用できる機会が減少していること。 2つめは「学校プールの管理負担の軽減」で、プールの管理は教職員が業務時間外にも行う必要があり、負担が大きいこと。さらに1校あたり年間66万円の維持費がかかっていること。 そして3つめは、一番の問題点でもある「プール施設の老朽化」で、一般にプールの耐用年数は30年とされるのに対し、市内の小中学校の8割近くで建設から30年以上が経過していることが挙げられています。 市教委は、こうした問題を解決するため、来年度以降にモデル実施校を設定し、公営や民営プールの活用への転換を検討したいとしています。 しかしこの報告に対して議員たちは猛反発です。 米子市議会・民生教育委員 「送迎の部分についても時間差が相当ある。そういう部分も十分に多角的に検討してこの計画の中には反映していかなければならない」 「体育館のエアコン設置ができるんじゃないかとか、そういった方向に舵も切れるんじゃないか」 「議事録の公開は必須」 委員会は紛糾し、委員からはより丁寧な説明を求める声が多数上がりました。 市教委は、6月以降の委員会でも説明をしていくとしていて、学校外のプール活用の取り組みを進めたいとしています。 こうした動きは他の自治体でも見られます。島根県江津市の江津東小学校。 建設から40年以上経った学校内のプールは、至る所に年季が入っています。 櫃田優果記者 「こちらの小学校での水泳授業は、今年度から学校のプールではなく、近くの市民プールで行われます」 この学校では、プールの老朽化により今年度から水泳の授業を近くの市民プールで実施することに決めました。 江津東小学校・ 校長 「機械室からこちらの地下を通って水道管があるが、老朽化で壊れて漏水が起こっている。1億円弱の修繕費がかかる」 壊れた水道管の修理を含め、プール全体の修繕について市の教育委員会と話し合いましたが、費用が高すぎることからプールの使用を断念しました。 市民プールを利用する場合、施設の利用料などがかかりますが、年間の費用は100万円以下と、修繕に比べ大きく費用を抑えられるといいます。 江津東小学校・校長 「子どもたちの水泳の学習が、学校のやりたいタイミングでできないのは残念だが、職員が管理しなくてもいいのはメリットがある。安全面でいくとスイミングスクールはメリットがあると思っている」 市教委によると、市内の小中学校で、学校のプール以外で水泳の授業を行うのは今のところ江津東小学校だけですが、今後は修繕に数千万円単位で費用がかかる学校が出た場合は、プールを直さず、公営の施設などでの水泳授業に切り替えるということです。 プールの老朽化に伴い、見直される水泳授業。学校だけでなく地域全体で考える必要がありそうです。
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