綱取りへ大関琴桜が千秋楽は順当なら横綱照ノ富士と、佐渡ケ嶽親方は「横綱を倒してアピール」
初の綱とりへ、準備は整った。先場所で14勝1敗の初優勝を飾った、大相撲の大関琴桜(27=佐渡ケ嶽)が10日、千葉・松戸市の部屋で初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて最終調整。この日の取組編成会議で、初日は東前頭筆頭隆の勝、2日目は小結阿炎に決定。横綱照ノ富士の出場も決まり、番付通りなら最大の壁と千秋楽に対戦する。父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「横綱を倒してアピールできる」と前向き。昇進確実な2場所連続優勝に挑む。 ◇ ◇ ◇ おぼろげだった横綱昇進までの道のりが、はっきりと見えた。琴桜は初日に隆の勝、2日目に阿炎と難敵との連戦に始まり、千秋楽は順当なら最大の壁の照ノ富士。毎日が大勝負だ。それでも最終調整を終えると「初日とか2日目とか考えても仕方ない。毎日、目の前の一番に集中。誰が相手とかじゃない。自分自身との闘い」と力説した。 日に日に上向く状態の良さで、自信をつけてきた。6日の稽古総見は3大関による申し合いで3勝10敗。7日は出稽古に来た大関大の里に6勝8敗も、4連勝で締めた。8日は関脇大栄翔や初日に対戦する隆の勝ら幕内4人を相手に18勝2敗で、相撲を取る稽古を終えた。前日9日からは基礎運動に終始。この日は体のケアのため、早めに稽古を切り上げた。佐渡ケ嶽親方も「体の張りもいい。今は受けて良し、攻めて良し。それが完成すれば、もう1つ上に行ける」と、仕上がりの良さと、今がまさに急成長の段階と説明した。 そんな師匠は、本人に代わって照ノ富士の出場を歓迎した。「横綱を倒してアピールできる。千秋楽で決まりじゃないですか」。仮に優勝を逃したとしても、最後に横綱を倒しての好成績なら昇進を、さらには世代交代をも、印象づけることができる。最後に対戦した昨年名古屋場所では、9度目の対戦で初白星。確実に実力は近づいている。 琴桜は初の綱とり場所を目前にしてもまるで緊張した様子を見せずにきっぱりと言った。「ずっと目指してきた。いまさら意識しても仕方ない」。すでに風格は横綱級。祖父の初代琴桜の背中を追い、新春に一足早く満開の桜を咲かせる準備は整った。【高田文太】