富山からドイツへ版画寄贈 バッハゆかりのトーマス教会に
作曲家バッハが音楽監督を務めたことで知られるドイツ東部・ライプチヒのトーマス教会に、富山県高岡市出身の版画家金守世士夫さん(1922~2016年)の版画作品が寄贈されることになった。今秋、教会へ移送される予定で、世士夫さんの妻嘉子さん(87)は「由緒ある教会に収められるのは光栄。金守も喜んでいると思う」と話している。 寄贈される版画は世士夫さんが42~46年ごろ、聖書をモチーフに制作し、キリスト降誕などの場面が描かれている。トーマス教会はバッハの他、宗教改革を始めたマルチン・ルターが説教を行ったことで有名だ。同教会広報担当の高野昭夫さんによると、トーマス教会に日本人の作品が寄贈されるのは初めて。 嘉子さんによると、世士夫さんは10代から旧約聖書を熟読し、場面に関するメモをノートに書き留めていた。今回の版画は戦後すぐに富山県内で展示されたものの、「キリスト教をテーマにするなんて」と非難されて以来、表に出ることはなかった。
版画は7月25~29日、富山市の県民会館で展示される。