宅麻伸さんがバイク遍歴を初披露! カワサキ、ホンダ、ヤマハなどを経てハーレーを購入、魅了された理由とは?
30歳で購入した初ハーレー
「1986年にハーレーを買ったんだ。街で見かけては『いいなぁ』と、憧れていたけど、20代では買えなかったから、ちょうど30歳の年に思い切ってね。当時はまだハーレーに乗っている人は少なかったから優越感はあったね。この『ソフテイル カスタム』はとても気にいっていて、いろんなところに走って行ったなあ」 日本法人の「ハーレーダビッドソン ジャパン」が設立されたのが1989年のこと。それ以前はいかに有名なハーレーとはいえ、日本での販売台数は年間数百台程度に過ぎなかった。現在よりずっとそのステイタスは大きかったのだ。 その後、宅麻さんは5台のハーレーを乗り継ぐ。なかでも俳優生活30周年にあたる2009年に手に入れた「ウルトラ クラシック」は、タンクからホイールまで全体をブラックで統一し、宅麻さんが思い描く1台に仕上げた。この年のカスタムハーレー・コンテストで入賞を果たすほど、完成度の高い出来栄えだった。 そこまで宅麻さんを魅了した、ハーレーの魅力とはなんなのだろう? 「いちばん好きなのは“音”だね。乗ってどこかを目指すというよりも、Vツインエンジンの鼓動と排気音を聴くために走っているようなところがある。ハーレーサウンドを感じながら走っていると、誰かに追い抜かれても我関せずという気持ちになるし、飛ばさなくても楽しいんだよね」 バイクに乗るときは、ひとりで走ることが多いという。「お気に入りの道はありますか?」と尋ねると、愛車を乗り換えたとき必ず走るルートがあると教えてくれた。 「新しいバイクが納車されたら、東名高速で御殿場に向かい、河口湖を経由して中央道で帰ってくるっていうツーリングを必ずやる。そのルートをまわると、バイクのポジションや操作感が身体に馴染んで、あとは楽に乗れるようになる。自分なりのルーティーンだね。その逆まわりのパターンもあるんだけど、河口湖で“ほうとう”を食べるっていうのだけは決まってる(笑)」 いま現在、所有しているバイクはなく、二輪ライフは休憩中だが、またジワジワとバイク熱が再燃しはじめているという。撮影のために用意した最新モデルの「CVOロードグライド」にも興味津々だった。 「最新のビッグツインって、エンジンは1900ccもあるんだね。でも今日は跨るだけで乗らないよ。乗ったらぜったい欲しくなっちゃうから(笑)。いまいちばん気になっているのはトライアンフの『ボンネビル』。クラシックなデザインとバーチカルツインの音がいいよね。あとはBMWのクルーザー『R18』も気になるな。やっぱりある程度大きくて、音がいいバイクが好きなんだよ」 そんな話をしながらシートに跨る姿は、じつに様になっていた。宅麻さんのバイクライフが再開する日は、そう遠くはなさそうだ。
【プロフィール】宅麻伸(たくましん)
1956年生まれ、岡山県出身。社会人を経て、俳優天知茂に師事し、天知が主演する『江戸川乱歩の美女シリーズ』に出演し、俳優の道へ。1979年、テレビドラマ『新・七人の刑事』に出演し正式デビュー。『課長島耕作』『法医学教室の事件ファイル』シリーズ、『勇者ヨシヒコと魔王の城』など代表作多数。 文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・奈良裕也 スタイリング・黒田匡彦 編集・稲垣邦康(GQ)