亡くなった服部幸應さん（生島企画室提供）

　料理学校「服部栄養専門学校」の校長で、フジテレビ系「料理の鉄人」、テレビ朝日系「愛のエプロン」などの出演でも知られる料理評論家の服部幸應（はっとり・ゆきお、本名・染谷幸彦＝そめや・ゆきひこ）さんが４日に死去していたことが５日、分かった。７８歳だった。 　業務提携先の「生島企画室」によると、服部さんは最近まで元気に活動しており、服部栄養専門学校の授業にも顔を出すなどしていた。４日に同校で倒れ、救急搬送されたが搬送先の病院で帰らぬ人となった。病死とみられる。関係者も「急なことで驚いている」と語るほど突然の別れだった。 　服部さんは、料理学校「服部学園」の創業者・服部道政を父に持ち、幼少から料理に親しんだ。１９７７年に服部栄養専門学校の校長、服部学園の理事長に就任。穏やかで軽妙な語り口で「料理の鉄人」の解説者、「愛のエプロン」のコメンテーター、「ＳＭＡＰ×ＳＭＡＰ」の調理監修など、多くの料理バラエティー番組にも貢献した。 　４０年以上にわたり「食育」に取り組み、日本の家庭料理文化の普及に貢献。コロナ禍では飲食店の経営自粛に心を痛め、「飲食店倒産防止のための要望書」を提出するなど、食文化の灯（ともしび）を消さないという強い意思で活動していたという。長らくの「食育」の啓蒙（けいもう）活動が評価され、旭日小綬章や藍綬褒章、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエなど多数受章している。 　「料理の鉄人」で共演した中華料理の陳建一氏やフレンチシェフ・坂井宏行氏を同校の特別講師に招くなど人脈の広さでも知られた。先月２９日に更新された「和の鉄人」道場六三郎氏のＹｏｕＴｕｂｅチャンネルに服部さんはゲスト出演。冷えてもおいしい天ぷらの極意を明かしていた。 　〇…「スマスマ」で服部さんから料理指導を受けた俳優の木村拓哉（５１）はこの日、インスタグラムのストーリーズで「服部先生　心からご冥福をお祈り申し上げます」と追悼。「愛のエプロン」ＭＣ・城島茂（５３）の所属するＴＯＫＩＯも公式Ｘで「番組を超え、あらゆる面でもお力添えをいただき、料理の楽しさ、食事の大切さを教えていただきました」と感謝した。 　〇…パティシエの鎧塚俊彦氏は先月３０日に「食文化ルネサンス総会」の席で服部さんと対面。インスタグラムで「『喉が痛く声が出ない』と仰（おっしゃ）りながらも立派に総会の議長を勤めあげられました」と当時の様子を明かし「先生の志を仲間と共に引き継ぎ、料理業界の発展の為、より一層精進して参ります」とつづった。 　◆服部　幸應（はっとり・ゆきお）１９４５年、東京都出身。立大卒。７７年から学校法人服部学園理事長、服部栄養専門学校校長に就任。「料理の鉄人」「ＳＭＡＰ×ＳＭＡＰ」などテレビ番組でもおなじみの料理評論家として、お茶の間でも知られた。東農大、昭和大、広島大など多くの大学で客員教授を務めた。２０年には食育の普及への功績を評価され、旭日小綬章を受章した。