元大企業勤めの妻の親は、退職金で毎年海外旅行をしています。私の父は元中小企業勤めで「退職金は老後資金にする」と言います。退職金にそんなに差があるのでしょうか?
将来を見据えて対策を
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は24万4580円、可処分所得が21万3042円に対し、消費支出は25万959円で、3万7917円の不足です。 これらはあくまでも平均値によるもので、退職金も賃金も、業種・学歴・男女別により異なります。生活費も、持ち家か賃貸か、健康状態、家族構成により支出にも差があります。同じイベントにどれだけお金をかけるかも、家庭により異なります。 60歳定年で無職になると、生活費年間300万円×5年間と、以降年金不足分3万8000円×12ヶ月×30年間で2868万円が必要となります。 しかし、大企業の大学卒の場合、公的年金で老後の生活が賄えるため、退職から年金受給までの5年間の分を退職金の取り崩しをしても、1000万円以上の余裕があります。将来配偶者がおひとりになっても月17万円ほどあるので、奥さまの親御さまは毎年海外旅行を楽しんでいらっしゃるのでしょう。 一方、中小企業の場合、退職金では不足分を賄いきれません。Aさんのお父さまが、まず、退職金を老後資金にされるのはそのためです。それだけでは足りないので、少しでも長く働いて年金を繰下げるか、年金+給与で貯蓄と生活費にする等、将来を見据えた行動が必要になります。 老後の暮らしは、一人ひとり異なります。まず現状を見て、定年後に入ってくるお金・出て行くお金を把握し、不足分の対策(自助努力による資金作り等)をしておくことが大切です。 出典 中小企業庁 中小企業の定義に関するよくある質問 中央労働委員会 令和5年賃金事情等総合調査 中央労働委員会 令和4年賃金事情等総合調査 中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査 東京都産業労働局 中小企業の賃金事情(令和5年版) 東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版) 総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要 日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額 日本年金機構 は行 報酬比例部分 執筆者:林智慮 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部