元大企業勤めの妻の親は、退職金で毎年海外旅行をしています。私の父は元中小企業勤めで「退職金は老後資金にする」と言います。退職金にそんなに差があるのでしょうか?
給与格差は、公的年金の格差
ところで、公的年金は企業規模により大きく異なるのでしょうか。厚生年金(報酬比例部分)は現役時代の給与・賞与で作られます。 加入期間の、標準報酬月額(給与)と標準賞与額を加入期間で割って、平均標準報酬額を算出します。よって、給与の格差は、そのまま年金の格差につながります。令和5年の賃金の調査産業計の平均は、以下のとおりです。 ・大企業:38万1300円(所定内賃金)+6万5300円(所定外賃金)=44万6000円 ・中小企業:37万9800円(所定内賃金)+2万7300円(所定外賃金)=40万7100円 ただし、あくまでも平均値であり、大学卒モデル所定内賃金(通勤手当除く)の平均値は459万6000円(所定内賃金)あり、中小企業と比較すると、入社時(22歳)大企業23万4000円、中小企業22万2005円で約1万円の差に対し、ピーク時(55歳)大企業61万7000円、中小企業44万605円で約17万円もの差があります。 中小企業の場合は、産業別による格差が大きく、所定内賃金(通勤手当含む)は金融・保険業58万972円が最も高く、最も安い学習支援29万5568円との差が28万5404円もあります。 それでは、大学卒業後に入社して60歳で退職した場合、賃金の平均値から年金がどのくらいになるのか見てみましょう。 ○基礎年金部分 令和6年度の国民年金額は満額で81万6000円より、38年間の納付の場合は77万5200円です。……A ○厚生年金(報酬比例分)は、以下の(1)と(2)を合計して算出しますが、おおよその目安のため(2)で計算します。 ・平成15年3月以前の加入期間分 平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数……(1) ・平成15年4月以降の加入期間分は、 平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数……(2) (出典:日本年金機構「は行 報酬比例部分」) 大企業44万円、中小企業41万円とします。賞与は、年間で大企業5.4ヶ月分、中小企業2.99ヶ月分より、平均標準報酬額を大企業56万円、中小企業47万円とします。この条件で38年間(平成15年4月以降を20年間)とすると、以下のようになります。 ・大企業の場合 56万円×5.481/1000×38年×12月=139万9628円 大企業・大卒の所定内賃金を簡易的に見積もると、標準報酬月額47万円として、68万1000円×5.481/000×38年×12月=170万2047円 ・中小企業の場合 47万円×5.481/1000×38年×12月=117万4687円 これより、配偶者が専業主婦(夫)の場合を考えると、国民年金も同額とした場合の世帯の年金は以下のとおりになります。 ・大企業:約295万円(月額24万円)、大企業大学卒:約320万円(月額27万円) ・中小企業:約272万円(月額22万円)