虎のソナタ FA流出が常勝の原点になる!? 2016年以降のオリックスのように…
2016年。オリックスはシーズンをぶっちぎりの最下位でフィニッシュする。交流戦も12球団で最下位。付け加えるならオープン戦も最下位。さらに、2軍もウエスタン・リーグで最下位-。 【写真】阪神・大山悠輔がFA宣言「他球団の評価聞きたい」 長い歴史を誇る日本プロ野球史上でも唯一の「最下位グランドスラム」「完全最下位」達成チームとして、その名をとどめる。要するに、何をやってもビリのすごく弱いチームだった。 そのチームから打率・306(チーム1位)、17本塁打(同2位)、パ・リーグ盗塁王の糸井嘉男がFA宣言して阪神へ去っていった。 このチーム、どこまで弱くなるんだろうか?! 担当記者としては、絶望感以外はなかった。 どうするんですか? 監督・福良淳一(現GM)に尋ねると、意外なほど楽観的だった。 「マサタカが来年は一本立ちするから、何とかなるやろ」 マサタカとは、この年のルーキー・吉田正尚(現レッドソックス)。 「移籍を気にしても始まらない。プロ野球って昔から誰かが抜けたら、別の誰かがすぐに穴を埋めるもんや」 プロ野球選手をナメたらアカンで…とも言っていた。福良当時監督の戦力分析はそう外れてはいなかった。マサタカ中心の打線が年々力を付けて、21年にはリーグ優勝。そのマサタカがメジャー移籍すると、西武から森友哉を補強して、3連覇達成。あえて言うなら、糸井のFA流出が常勝チームへの原点になった。 長々と書いてきて、何が言いたいかといえば、もちろん大山のFA。これは非常事態だ。4番打者が、突然いなくなる可能性がでてきたわけで、痛くないはずがない。阪神ファンが「残って!」と悲痛な叫びをあげるのも当然だ。 だから、元気を出してもらうために、糸井の例を出してみた。 「大山に出ていかれたら、阪神はどうなるんだろうという不安は大きいです。でも、秋季キャンプでの藤川新監督の動きを見ていると、常に先を見ながらチームづくりをスタートさせている気がします。たとえば井上。大山のFA宣言より以前から、一塁の守備をやっていたじゃないですか。若い力が一気に出てきたら、面白いですよね。もちろん、大山には残ってほしいですけれど」 これは当番デスク・白石大地の意見。糸井の代役を、当時のルーキーが成長して、黄金時代を呼び込んだのだから、甲子園のヒーローだった井上に、その大役が果たせても、不思議ではない。