上を行く(11月21日)
ますます、暮らしにくくなりそう―。福島市のJR福島駅西口周辺の住民から嘆きが聞こえてくる。駅構内にあるスーパー「パワーシティピボット」の生鮮食品部門が来年1月末で閉店するという▼駅前にあったイトーヨーカドー福島店が閉じたのは今年5月。跡地利用は決まっておらず、近隣に商業施設が出店する計画も見えてこない。買い物の場がまた一つ失われれば、人通りがさらに減り、地域はさみしくなってしまうかも。あれこれと悩みは増すばかりだ。「県庁所在地の玄関口がこのままでいいのか」と対策を求める声が上がる▼駅の東西をまたいで、人の行き来は活発になるか。階段を上った駅舎のコンコースを通路に使う社会実験が、来月6日まで続けられている。市によると、従来の地下通路はイメージがいまひとつ。「暗くて怖い」「圧迫感がある」との意見が寄せられている。ガラス張りのコンコースは「明るくていい」と利用者に好評とか▼中心市街地の空洞化が指摘されて久しい。客も減り、小売店にはますます波高し。県都の社会実験は一段「上を行く」防波堤となってにぎわいを生み出せるか。街なかに買い物難民を増やさぬよう。<2024・11・21>