「最高のドラマー」は誰だ!? スカパラ・茂木欣一×フレデリック・高橋 武が熱弁
「俺これ好きなんだ」直感で理解したドラムの音は?
一方、茂木がドラムを始めるきっかけは、小さい頃に聴いたラジオだったという。当時、ラジオから流れる全米ヒットチャートが大好きで、最初はギターがいいなと思ったが、ある日、耳がドラムの音に寄っていることに気が付いたという。 茂木:それまでは歌謡曲を聴いていて、そのときは全然そんなことを考えもしなかったんだけど、洋楽を聴き始めたときに、なんかドラムの音が耳に入ってくるなって。後から振り返れば作りが全然違うからって分かるけど、当時はとにかく自分の耳にドラムの音が飛び込んできてしょうがなかった。これ何だと思って調べたら、ロッド・スチュワートの『Da Ya Think I'm Sexy?』(邦題:アイム・セクシー)』って曲で。 あっこゴリラ:これも勝手に体が動いちゃうやつですね。 茂木:当時、輸入盤が買えるお店ができて、最初に買った洋楽のアルバムがロッド・スチュワートのアルバムでした。誰が叩いているのかと思ったら、カーマイン・アピスでした。家にはギターの教本だけあるんだけど、でもそういうことじゃなくて、直感で「俺これ好きなんだ」って、バシッときちゃった感じだよね。 あっこゴリラ:最初にドラムが耳に行きがちですか? 茂木:プレイヤーの自分とリスナーの自分ってすみ分けていて、だからJ-WAVEとかつけてポンと出てきた新曲は、ただただどんな曲かなって全体で聴いちゃう。その後に「あれ、このドラム気になる」っていうのはもちろんある。 高橋:同じ感じですね。
衝撃を受けたドラマーたち
続いて、2人が影響を受けた「最高のドラマー」をそれぞれ紹介。高橋は1人目に沼澤 尚の名前を挙げた。 高橋:沼澤 尚といえば海外ではチャカ・カーンとかボビー・ウーマックのツアーに参加していますし、国内でも本当に素晴らしいミュージシャンの方々とやっていますけれど、僕が沼澤 尚さんに衝撃を受けたのは、安藤裕子さんのバックで沼澤 尚さんが演奏されているライブを観に行ったとき。そのときシンバルの枚数が特別多かったわけではないけど、全部のシンバルが曲のキーに合って聴こえたんです。 あっこゴリラ:すげえ! 高橋:曲が変わっても、その曲のコードに合ってシンバルの音色が聴こえて「何じゃこれ?」って。当時、僕は20歳前後だったので、どちらかというと安易にドラムはメロディーのない楽器みたいな捉え方をしていた部分があったので、「なんで沼澤さんのドラムは、こんなに曲にハマって聴こえるんだろう」っていうのが入り口でした。そこからどハマりしましたね。 ここで高橋は「ちょうど沼澤さんが今の僕の歳くらいのときの曲」として13Catsの『If You Really Love Me~The River』を紹介。オンエアした。 一方、茂木が影響を受けたドラマーとしてザ・フーのドラマー、キース・ムーンの名前を挙げると、あっこゴリラが「そりゃそうだ!」と納得の様子。 茂木:キース・ムーンって破天荒でめちゃくちゃってイメージがあるんだけど、曲をこんなに生かしているというか、こんなに生命力を与えているドラマーもいないって思うくらい、ものすごいエネルギーを持ったドラマーだなって思う。 あっこゴリラ:世界でいちばん破天荒で有名なドラマーですよね。 茂木:ドラムセットもよく壊すしね。でも曲の理解度もすごいというか、めちゃくちゃ手数多いのにその曲のいちばんポイントになる「ここがツボでしょ」ってところは限りなく押さえる。キース・ムーンを聴いたときに「あ、そういうことをしていいんだ」と思えたんだよね。 中学3年の頃、進路でモヤモヤしていた茂木はキース・ムーンのドラムを聴いて、「こんな風にドラムで突破することってあるんだ」と衝撃を受け、「常識を壊すことを教えてもらった」と語った。 ここで茂木はザ・フーの『My Generation』をリクエスト。オンエアした。