安倍首相が意欲、自衛隊の機雷掃海ってどういうもの?
中東からの原油輸送経路になっているホルムズ海峡に機雷が敷設された場合について、安倍首相は自衛隊が掃海活動ができるよう意欲を示したと報じられています。機雷の掃海活動とはどういうものでしょうか?
機雷とは何か
機雷とは水中に設置され、通り掛かった船舶に反応して起爆する爆発兵器のことです。機雷には大きく分けて係維(けいい)機雷、沈底(ちんてい)機雷、浮遊機雷の3種類があります。 最も普及しているのは海底に設置した係維器からワイヤーを伸ばして機雷と繋いでいる係維機雷です。これは接触式信管で起爆できるので安く大量に用意することができます。沈底機雷は機雷本体が海底に沈んでいて海面から離れているので浅い海域に設置されることが多く、船舶の発する磁気や音、水圧変化などに反応して起爆します。浮遊機雷は何処へ流れていくか分からず中立国の船舶を巻き添えにする可能性があるので、国際条約で厳しく制限されています。 そのため、実質的に軍隊が使用している機雷は係維機雷と沈底機雷の2種類となります。しかし係維機雷の何割かはワイヤーが切れて浮流し行方不明になる場合があり、沈底機雷は海底の泥に埋もれて発見が困難になるので、戦争が終わっても完全に機雷を処分するには長い時間が掛かってしまいます。
掃海と掃討
一般的に機雷を処分する方法は掃海と呼ばれていますが、厳密には掃海と掃討の2種類があります。 掃海は、掃海艇がカッター付きの掃海具を曳航しながら走り回って係維機雷のワイヤーを切断し、海面に浮上して来た機雷本体を機関砲で射撃して爆破処分します。沈底機雷に対しては磁気や音を発する器具を曳航して、掃海艇から離れた場所で起爆させて爆破処分します。そのため掃海艇自身は磁気を帯びる鋼鉄ではなく木製やFRP製が多くなります。掃海艇ではなく大型ヘリコプターに掃海具を曳かせる航空掃海という方法もあります。 掃討は、掃海では処分しきれなかった機雷をソナーで個別に発見してダイバーまたは遠隔操作式の無人潜水艇を送り込み、起爆装置を取り付けて爆破処分します。 高性能な機雷は処分され難いように工夫が凝らされています。複数種類の起爆方法を持つものや、設置後に時間を置いてから活性化するもの、船舶が何隻か通過して安全だと油断させた後で次に来た船に対して起爆するものなど、単純な掃海では排除できない新型機雷が増えているため、現在は掃討が重視される傾向にあります。 海上自衛隊は湾岸戦争の際にペルシャ湾に掃海部隊を派遣しましたが、当時は機雷処分具としての無人潜水艇の導入があまり進んでおらず、処分した機雷の多くがダイバーの手作業によるものでした。この時の経験を元に、現在では危険な作業を肩代わりする高性能な無人潜水艇の配備を積極的に進めています。