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FC東京復帰の17歳久保建英が開幕戦で見せた劇的変化

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THE PAGE

 強烈な弾道があと数センチ左側を射抜いていたら、歴史を塗り替えるゴールが生まれていた。0-0で迎えた前半41分。ペナルティーエリアの右角から少し離れた位置で、FC東京が獲得した直接FK。ゴールを狙うには角度的にちょっと厳しかった。パスが来ると予想したのか。守る川崎フロンターレも、壁となる選手を2人しか立てなかった。  直後に等々力陸上競技場がどよめいた。右MFで先発した17歳8か月19日の久保建英が、利き足の左足をコンパクトに振り抜く。壁の左側、身長168 センチのMF大島僚太の顔のあたりを高速で通過したボールは鋭い弧を描きながら、右ポストに嫌われて弾き返された。 「壁が誰だったのかも含めて、まったく覚えていないんです」  無我夢中だったと久保が苦笑する。  昨シーズンのベストイレブンに輝いたフロンターレの守護神、チョン・ソンリョンが反応できなかった一撃。決まっていたら2013シーズンに18歳5ヵ月9日のMF石毛秀樹(清水エスパルス)が決めた、開幕戦における史上最年少ゴールを大幅に更新していた。    最終的にスコアレスドローで終わった23日の開幕戦。FC東京のゴールを最も予感させた場面で、久保が鮮明に覚えているやり取りがある。決める自信はあった。  それでも、確実性を求めるあまりに「(クロスを)中へ上げて、味方が競ってくれたほうがいいかな」と考えていた。 「そうしたら東選手が、『(シュートを)打っていいんじゃないか』と言ってくれたので」  ともにボールの近くにいた、キャプテンのMF東慶悟に背中を押された。直接FKを任される。しかも、味方へのパスではなくゴールを決めろと檄を飛ばされる。全幅の信頼を勝ち取った背景には、約5か月ぶりに復帰した久保が見せた劇的な変化があった。

 試合後の公式会見。FC東京の長谷川健太監督は昨シーズンにおけるメディアとのやり取りを引き合いに出しながら、久保に対してこう言及した。  指揮官は「久保を起用すれば大人の選手たちが子どもをカバーするために、気を使いながらプレーしなければいけないのでは」と指摘されていた。 「皆さんがびっくりするくらい変わりました。キャンプ当初から意欲も違いましたし、練習試合を重ねるごとに成長する姿を目の当たりにして、(開幕戦から)いけるんじゃないかと。若い選手の1年間の成長は本当にすごいと、あらためてビックリしています」  期限付き移籍した横浜F・マリノスでの日々が、久保を内側から変えた。長谷川監督のもとでリーグ戦わずか4試合、58分間の出場にとどまっていた状況に危機感を抱き、出場機会を増やすために環境を変えたいと直訴。慰留を振り切り、8月中旬にFC東京を飛び出した。  新天地では最高のデビューを飾った。J1初先発を果たした8月26日のヴィッセル神戸戦で、待望の初ゴールをゲット。しかし、続く清水エスパルス戦でも先発したのを最後に出番は減り、9月以降は後半途中から3試合に出場しただけにとどまった。  所属を変えても、状況が変わらないのはなぜか。  当時のマリノスはJ1残留争いに巻き込まれつつあった。チームが一丸となって、勝ち点を死に物狂いで求めていく緊迫した雰囲気のなかで、久保も自問自答を繰り返した。 「サッカーはチームスポーツなので、オレが、オレが、というわけにはいかない。選手一人ひとりに特徴があるとは思いますけど、チームの勝利が最優先されるなかで、土台となるチームのコンセプトを実践できなければ試合に出られないのは当たり前だ、ということをこの1年間で、十代の早いうちに学べたことは一番大きな収穫だと思っています」  長谷川監督はボールのない状況でも運動量をもっと増やし、守備でもハードワークを厭わない泥臭さを求めていた。そうした動きがいかに重要なのかをマリノスで気づき、FCバルセロナの下部組織で磨きあげた高度なテクニックに融合できた手応えが、久保の言葉から伝わってくる。

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