「金価格」は市場の構造変化で新時代に突入し、2024年後半にさらに上昇へ! 史上最高値を更新も、米・大統領選、中東情勢の悪化などで価格上昇に拍車がかかる!?
「金価格」の上昇が止まらない理由をアナリストが解説! 株高でも金利高でも下がらない金は、これから先も有望な投資先になるか!? 【図版】世界の中央銀行が「金」を継続的に買う理由 ●2024年に入ってから「金」のマーケットの構造そのものが変化して、 「金」と「株」と「金利」の3つが同時に上昇する時代が到来! 史上最高値更新が続いている「金」価格。米ドル建ての金価格は、2024年3月後半の時点で1トロイオンスあたり2200ドル付近だったが、4月に入り急上昇。4月12日には、初めて2400ドルを突破した。日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一さんは、次のように話す。 「今年に入ってから歴史的高値をどんどん更新し、プロの間でも『ミステリアスラリー』と言われていました。基本的に、金は株や金利と逆相関で動きますが、NYダウが上昇しても、米国の長期金利が高くても金は強いまま。こんな状態は見たことがありません。金のマーケットの構造そのものが変わってきている」 コロナ・ショック時の2020年、米ドル建て金価格は2000ドルを付けた後でいったん下げたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で、再び2000ドルを突破。2023年以降は1800ドルを下回ることなく、上昇基調が続いている。 ●世界の先行きが不透明になり、「安全資産」を買う動きに! 今後トランプ元大統領が再選したら、上昇に加速がかかる⁉ なぜ、こんなにも金は強いのか。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎さんは、次のように分析する。 「直近では、米国の利下げ観測が金価格を支えていると言われますが、実はもっと根本的な要因があります。まず、大きな流れとして、2010年くらいから世界の中央銀行が金を継続的に買っています。そこにロシアによるウクライナ侵攻などがあり、それ以降、世界の中央銀行がさらに金を“爆買い”するようになったんです」(亀井さん) 金の“爆買い”が起きた理由は、いくつかあるという。 「根っこにある要因としては、そもそも通貨の問題があります。2000年代に入ってから金融危機に対応するため、FRB(連邦準備制度理事会)などの世界の中央銀行は、大規模な量的緩和策を繰り返してお札を刷りまくっています。その結果、通貨価値が低下。代替資産として、中央銀行が外貨準備高に占める金の割合を増やしているのです」(亀井さん) 国際社会における米国の地位低下という側面も加わり、“基軸通貨ドル”への信頼が揺らいできていたことも影響している。楽天証券経済研究所コモディティアナリストの吉田哲さんは次のように分析する。 「2010年以降、SNS普及の影響などもあり、世界の分断が深刻化しています。各地で政治的な混乱や紛争が増え、非常に不安定になっているのです。そこで、新興国を中心に、不安拡大時でも根元的な価値が保たれる金が買い集められるようになったのです」(吉田さん) この流れが加速したのが、2022年から始まったロシアによるウクライナ侵攻だ。このとき、西側の経済制裁によってロシアのドル資産が凍結された。 「それを見ていた非西側諸国や新興国は『基軸通貨のドルを持っていても、何かあったら凍結されてしまう。ドルを持つことはリスク』と捉えた。代わりの資産として選ばれたのが金だったのです」(池水さん) その後も、中東情勢の悪化、さらに台湾有事の可能性など、地政学的リスクは増大している。また、今年後半には米国の大統領選挙が控えており、トランプ元大統領の再選が現実のものとなれば、さらなる混乱は必至。こうなってくると、問題は簡単に解決しそうにないため、今後も金価格の上昇は続く可能性が高そうだ。 「金に興味があるけど、かなり高くなっているから買いづらい」と感じている人も多いかもしれないが、こうした見通しを踏まえると、まだまだ投資を検討する価値はある。純金積立やETFなど、気軽に金を買う方法もあるので、注目してみてほしい。
ザイ編集部
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