「発達障害」を隠して就職したほうが有利なの? 本人にも職場にも有効な「就労支援」の3つの柱とは
発達障害の人への就労支援が年々、広がりをみせています。 発達障害の人の場合、知識や技術をいかして就職することはできても、人間関係などに悩んで職場になじめず、結果として、退職してしまうことがあります。そのような問題を防ぐために、職場定着までをみすえて支援するケースが増えています。 【続き】「就労支援」に救われたASD女性の真実 就労支援にはさまざまな形式がありますが、基本的な内容や流れは共通しています。『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』では、就職活動から職場への定着、生活面まで就労支援のしくみと活用の仕方をイラスト図解。就労支援を利用する当事者はもちろん、その当事者を受け入れる企業側にも好評なロングセラー書から、一部を連載形式でご紹介します。 今回は、本人と職場への就労支援の全体像、そして発達障害である事実をいつ会社に打ち明けるべきか、を解説。
そもそも「就労支援」とは
就労支援とは、働くことへのサポートを意味する言葉です。厳密な定義はなく、各種機関がさまざまな支援をおこなっています。 就労支援には、とくに病気や障害のない人への一般的な支援もありますが、ここでは発達障害などの障害がある人への専門的な就労支援を、主に解説していきます。 本書で解説する就労支援の全体像は、以下の図の通りです。 基本的に就労支援における流れと目標は、1 適職を見つける、2 職場に定着する、3 生活環境を調整する、の3本柱です。
本人への支援と職場への支援がある
『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』で解説している支援は、基本的には障害がある人を支えるしくみですが、そのなかには、障害がある人を受け入れる職場へのサポートも含まれています。 本人だけを支援するよりも、職場も合わせて支援したほうが、より働きやすい環境を整えることができるからです。 職場は就労支援機関と連携することで、障害に関するさまざまな情報を得られます。 障害がある人の採用活動や、採用の際の受け入れ態勢の整備などを相談することもできます。 障害者を雇用するときや、従業員に障害があることがわかったときなどに、適切な対応をとれるようになります。