100年超前の烏帽子、修繕終え所有者の元へ 塩町えんぶり組が久慈と交流
21年ぶりに八戸に「里帰り」していた「塩町えんぶり組」の古い烏帽子(えぼし)の修繕が完了し、11月23日、現在の所有者に届けられた。(八戸経済新聞) 毎年2月に行われる祭り「八戸えんぶり」に参加し、伝統芸能「えんぶり」の継承活動に取り組む塩町えんぶり組。修繕した烏帽子3枚は同組がかつて所有していたが、現在は岩手県久慈市の天神堂町内会が天神堂公民館の祭壇で管理している。1881(明治14)年または1919(大正8)年に作られたと考えられ、少なくとも100年がたち、同組の烏帽子の中で最も古い物だという。同組では長年行方を探していたが、2002(平成14)年、同町内会が所有していることを突き止め、翌2月の八戸えんぶりで同組のメンバーがかぶり舞を披露。以来、両団体の交流が続いていた。 2020年、紙でできた立髪、前髪の劣化や、本体部分の色のくすみなどが目立っていたことから同町内会が同組に修繕を依頼したが、コロナ禍拡大の影響で見送られていた。今年8月、同組が引き取って21年ぶりに八戸に「里帰り」し、ベテランのメンバーが分解して立髪、前髪、あごひもを交換したうえ、本体の表面にニスを塗ってつやを出すなどして修繕。11月、修繕内容を記録した資料が完成した。23日、同組のメンバー約10人が同公民館を訪れ、同町内会の関係者が見守る中で烏帽子を祭壇に設置し、おはやしを披露した。 両団体の関係者によると、この烏帽子が修繕されたのは50~60年ぶりで、同組の現在のメンバーが同町内でおはやしを演奏したのは初めてだという。 今後は来年2月の八戸えんぶり期間に合わせ、同組が活動する八戸市消防団第3分団3班屯所(八戸市柏崎3)の祭壇に設置したり、天神堂地区の祭りに同組が参加したりして、交流を深めていく予定だという。同組は2月まで、小学生を対象に舞を指導する「えんぶり教室」を開き、祭り本番に備える。 同組代表の差波正樹さんは「修繕が完了し、一安心した。久慈の町内会長からは今後の交流に関する提案もあった。久慈の皆さんにもえんぶりを見てもらう機会を作り、交流を深めたい」と話す。
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