原油価格の回復はいつ? 原油安が日本経済・日本株に与える影響とは?
新年早々、金融市場は大波乱。日経平均は昨年の大納会から2,000円超も下落して一時1万7,000を割れ、NYダウは3カ月半ぶりの安値を更新、渦中の中国株にいたっては年明け最初の週の5日のうち2日でサーキット・ブレーカー(下落率が7%を超えた時点で取引停止)が発動されるなど惨たんたる状況でした。そして、もう一つ話題となったのが原油安です。今回は原油安の背景と、それが日本経済・日本株に与える影響を解説します。 大胆な予想ではない! 2016年は日経平均4000円上昇 為替130円
原油価格下落、2つの原因とは?
原油価格は2014年10月頃から下落がはじまりましたが、当初は1バレル30ドルまで水準を切り下げるとは予想されておらず、実際、筆者は足もとの原油価格に驚いています。 そこで原油価格が下落した理由を考えてみましょう。原因はじつにさまざまですが、以下の2つで大部分が説明可能です。 1.需要と供給のバランスが崩れたこと 2.原油の金融商品としての魅力が後退したこと 1については、石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったほか、いまや世界有数の産油国となった米国で生産調整が進まず、供給過剰懸念が生じました。加えて、経済制裁が解除されるイラン産の原油輸出が解禁されるとの観測や北半球の暖冬による燃料需要低下といった一過性の要因も下落に拍車をかけました。 さらに直近ではサウジアラビアとイランの関係悪化が、原油減産に向けた議論をますます難しくするという事態を招き、原油安材料として意識されました。以前は、中東情勢悪化といえば原油高要因でしたが、最近は逆になっています。その一方、原油の需要側に目を向けると、世界最大のエネルギー消費国で同時に世界最大の原油純輸入国である中国が苦境に陥っているため、消費量が鈍るとの懸念が生じています。 そして2の背景にあるのが、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ(観測)です。2000年代以降、原油はオルタナティブ商品(株式・債券などの伝統的資産に次ぐ投資対象)として取引されてきましたが、原油を金融商品として考えた場合、最大の弱点は金利がつかないことです(金=GOLDも同じ)。 FRBが利上げすると、投資家はUSDをキャッシュで保有していれば、ある程度の利息を得ることができるので、原油を保有するインセンティブが低下します。かつて09年~13年まで、FRBが量的金融緩和政策(QE)を実施していた頃は、米金利が(短期・長期共に)低下したため、原油の魅力が高まり、巨額の投資資金が流入しました。ところが、米国経済が回復基調を強め、やがて利上げが視野に入ってくると、それまで流入してきたマネーが逆回転を始めたというわけです。