37歳織田信成、観客総立ちの熱演→号泣のSP5位発進 11年ぶり最後の全日本「復帰後の2年をこの2分50秒で出せた」
全日本選手権が開幕
フィギュアスケートの全日本選手権は20日、大阪・東和薬品RACTABドームで開幕し、男子ショートプログラム(SP)では11年ぶり出場の37歳・織田信成(大阪スケート倶楽部)が84.53点で5位発進した。今季で競技生活に2度目の区切りをつける37歳は「マツケンサンバ2」を熱演。地元・大阪で拍手を浴びた。 【画像】「マツケンサンバ2」を熱演 織田信成の演技に観客が総立ちになった実際の様子 最終グループで登場した織田は6分間練習前に名前がアナウンスされると、場内からは一際大きな拍手と歓声が沸き起こった。26番滑走、SPの演目は「マツケンサンバ2」だ。冒頭の4回転―3回転の連続トウループに着氷。マツケンサンバの軽快な曲に乗り腰を振って沸かせる場面も。手拍子の鳴る中、3回転アクセル、3回転ルッツともに決めた。その度に場内は大歓声だ。 フィニッシュ後は観客がスタンディングオベーション。手を振って応えるなど終始ノリノリだった。しかし、キス・アンド・クライでは得点が出る前から号泣。2008年に頂点に立ってから16年、11年ぶりに出場し、得点表示後は納得の表情を浮かべた。演技後の取材では「現役復帰してからの2年間の練習をこの2分50秒でしっかり出せたと思うので、凄く嬉しいです」と感激。こう続けた。 「もう37歳ですし、若い選手のような回転の速いジャンプとかスピンとか、肉体的にキレのある動きはなかなかできないですけど、フィギュアスケートは技術だけじゃなく、芸術も争うスポーツ。芸術は僕の場合、氷の上で自分がしっかり楽しむこと。 それをお客さんに楽しんでもらうのが、僕が一個目指すフィギュアスケートのスタイルなので、若い選手も今は技術練習を頑張って、技術を上げて自分なりの芸術というか、自分なりのフィギュアスケートの楽しみ方を見つけてくれたらいいなと思います」 2013年に一度は競技から引退し、22年に復帰。今も4回転ジャンプを跳ぶ実力はあるが、「膝と腰がもたない」と今季で再び競技生活に区切りをつける。19日には応援に駆け付ける家族のエピソードを語りながら涙。出発前、自宅で中学生になる長男が「試合、頑張ってな」と初めて言ってくれたという。取材エリアで「ここで泣くつもりじゃなかったのに……」とティッシュで目元をぬぐった。 この日はフリーに向け「フリーも同様に4回転ジャンプに挑戦するのでしっかり決めたい」と意気込んだ。
THE ANSWER編集部