<わたしたちと音楽 Vol. 48>Rihwa×三原勇希 大人になって得た、エンパワーメントし合うシスターフッドの関係性
女性同士の連帯によってより自由でいられる
――昔の自分にアドバイスをするとしたら? Rihwa:私は在日韓国人4世で、母親はマイクロアグレッションやフェミニズムについてもよく話をしてくれましたし、彼女自身が「女はこうあるべき」というジェンダーバイアスに対して抵抗する姿を見せてくれました。私も大人になって、「痩せろ」って見た目のことばかり言われたり、「これって女性だからじゃないかな?」と抑圧感に気がつくようになって。今は友達ともそういう話ができるようになったから、女性同士で支え合うってすごく大切なことなんだと身をもって体験しています。だから、若い世代のアーティストにも、そういう話ができる場があったら良いなと思います。 三原:私は「言われた通りにやらなくていいんだよ」でしょうか。おかしいと思ったことがあっても「そういうもんだから」と周りの大人に言われてきた。台本をもらって読む仕事だとしても、自分が思ったことがあれば相談してみても良いだろうし。これはどんな仕事でも当たり前のことなんですが、そう思えなくなっていたんですよね。与えられた仕事を与えられた通りにやるだけよりも、自分の頭で考えてやったほうが良くなることもあると今は思えます。 Rihwa:そう、私もそんな勇希にエンパワーメントされたんです。「こうあるべき」って周りから押し付けられることに対して、自分の考えをちゃんと伝えていこうと思えるようになりました。 三原:私も、Rihwaに勇気づけられてるよ! すごくユーモアのセンスがあって、いつも笑わせてもらってる。みんないろいろな経験をしてだんだん純粋無垢ではいられなくなっていくと思うんですけれど、Rihwaは年々自由になっていって、爆発している感じ。
表に出る人も裏で支える人も、みんなが働きやすい環境を
――お二人は、すごく良い関係を築いていらっしゃるんですね。そうやって仲間を見つけることは、自分自身の強い支えになると思いますが、エンタテインメントの業界で女性が活動しやすくなるには、何が必要だと思いますか。 三原:私は13歳でデビューして20年になりますが、SNSがなかった時代に比べると、今は「こうあるべき」と提示されるシステムやイメージを脱して、自分らしさを強みにして活動ができるように、エンタメ業界も変化してきているとは思います。より良くするとしたら、妊娠や出産、育児のサポートがあったらもっとできることがあるかなぁ。出演者側は会社員と雇用形態も違うので、制度が整っているとは言えなくて。レギュラー出演している局がサポートしてくれたりして、産休や育休が使えるといいなと思います。あとは昼夜も休日も関係ない業界なので、女性のスタッフさんは特に、業界全体に働き方改革は必要ですよね、難しいけれど。 Rihwa:私も、結婚や妊娠・出産のことも考えるけれど、仕事を休んだら収入がなくなってしまうので、生活はどうなるのか心配。これって、会社の偉い人たちの男性率がすごく高いからなんじゃないかと思うんだよね。男性が築き上げたシステムの中で、みんなが働いている感じがするのと、がむしゃらにたくさん働くのが良しとされていた時代の名残もあると思う。上層部に女性が増えたら、同じ女性として分かりあえることもある。毎月生理による体調の波もあるし、妊娠・出産のタイミングもあるし、女性として向き合わなくちゃいけないことを共有したいですよね。 三原:そうだね。女性に限らず、さまざまなジェンダーや年齢の人がエンタメ業界の裏方に増えていったらいいよね。