絶望の金欠と最悪の定年後をどう生き残るのか…日本にいる「老後を大成功」した人たち
元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎さん。仕事に生涯を捧げてきた名経営者も85歳を迎え、人生の佳境に差し掛かった。『老いた今だから』では、歳を重ねた今だからこそ見えてきた日々の楽しみ方が書かれている。 【画像】ほとんどの人が老後を大失敗する「根本的な理由」 ※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。
老後をどう生きる?
日本のシニア層は働く意欲が高く、しかも年々高まる傾向にあります。仕事をして収入を得ている全国の六〇歳以上の男女のうち、「あなたは、何歳ごろまで収入をともなう仕事をしたいですか」という質問に「六五歳を超えても」と答えた人は約九割にも達し、しかも最も多い回答は「働けるうちはいつまでも」で全体の約四割を占めています。 日本のミドルシニア層(五五~六四歳)も、「定年退職後も現在の勤務先で働きたい」と希望している人が多いようです。定年後も引き続き雇用されている人が同じ勤務先を選んだ理由としては、「就労環境を変えたくないから」「今まで培ったスキルやノウハウをそのまま活かせるから」「転職後に新しい人間関係を築くのが面倒だから」などが上位を占めています。 組織に所属せずフリーランスとして働く、自ら起業する、興味のある別分野の仕事にチャレンジする、あるいは、収入は度外視してボランティア的な働き方で地域社会に貢献する、といった選択肢もあります。どのような道を選ぶにしても、仕事を通じて社会参加を続けていけば、誰かに必要とされる喜び、自分の居場所をもっているという自信を得ることができる。第二の人生がより豊かなものになるのもわかりますね。 七〇歳までの定年引き上げや継続雇用、定年制の廃止などは今のところ「努力義務」ですが、企業のなかには継続雇用制度を工夫したり、年齢・性別を問わない採用方針を打ち出したりして、高齢者の雇用に積極的に取り組んでいるところも増えています。 そういう企業には、七〇歳どころか九〇代になっても現役でバリバリ働いている人もいます。また、六〇代、七〇代になっても現役で仕事を続けながら別の分野で起業するという「二刀流」で活動している人もいます。以下に、そうした人たちの事例をタイプ別に紹介します(年齢と勤続年数はいずれも二〇二三年現在)。