19日に行われたマーリンズ戦の七回、50号2ランを放ったドジャースの大谷翔平＝マイアミ（水島啓輔撮影)

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平（30）が史上初の「50―50（50本塁打、50盗塁）」を達成したボールの行方に注目が集まっている。50号本塁打の記念球は、左翼席で観戦していたファンが持ち帰ったとみられるが、現地メディアは「7000万円以上の価値がある」と指摘。前人未到の「50-50」の余波は、まだまだ収まる気配がない。 【写真】米大リーグ、ドジャース・大谷翔平の「50本塁打、50盗塁」達成で販売された記念Tシャツ ■球団は入手できず 大谷は19日にマイアミで行われたマーリンズ戦で、七回の第5打席に左翼席へ50号本塁打を放ち、「50―50」を達成した。その記念球について、地元紙「マイアミ・ヘラルド」の記者、クレイグ・ミッシュ氏は自身のX（旧ツイッター）で「50本目のホームランボールをキャッチしたファンは、ボールを持ち帰った。ドジャースはボールを取り戻せなかった」と投稿した。 米国の放送局「NBCロサンゼルス」（電子版）は「50―50クラブのホームランボールの価値はいくらか」という見出しで、大谷の記念球を巡る特集記事を掲載した。 記事は「（記念球は）30万ドル（約4300万円）以上、もしかすると50万ドル（約7200万円）以上になっても驚かない」とするオークション関係者の談話を紹介。この関係者は「このボールを手に入れたいと願うコレクターやファンは世の中にたくさんいると思う。できるだけ早く市場に出すべきだ」と主張した。 ■訴訟に発展したケースも 大リーグ評論家の福島良一さんは「大リーグでは、記録がかかった節目の本塁打の記念球の価値が上昇する」と話す。 1998年にマーク・マグワイア（カージナルス）が70号本塁打を放った際の記念球は、オークションで約300万ドルで落札された。また、2001年にバリー・ボンズ（ジャイアンツ）がシーズン最多記録を更新した73号本塁打の記念球を巡っては、ファン同士で所有権を争う訴訟にまで発展したことがある。 大谷の「50―50」ボールはオークションに出回るのか、それとも、ファンがそのまま手放さないのか。今後の動向は不透明だが、その価値の高さは、大谷自身がさらなる節目の記録を達成しない限り不変といえそうだ。（浅野英介）