会見を終え、引き揚げる青柳（撮影・坂部計介）

　阪神・青柳晃洋投手（３０）が５日、鳴尾浜で取材に応じ、今オフにポスティングシステムを利用して米大リーグに挑戦することを表明した。実現すれば球団では井川慶、藤浪晋太郎に続き３人目となる。青柳は容認してくれた球団に感謝を述べた上で、「挑戦したい」とマイナー契約も辞さない考えを示した。家族は同行せず、“単身渡米”する予定で、すでにエージェントも決定。強い覚悟で、念願の大舞台へ羽ばたいていく。 【写真】多くの報道陣に囲まれる青柳　すっきりした表情で対応 　青柳の表情、言葉に不退転の覚悟がにじんだ。ずっと夢だった米大リーグの舞台に挑むことができる。ただ、うれしさよりも真っ先に感謝の思いが口をついた。 　「ポスティングは球団の権利なんで。自分のわがままというか、行きたいっていう気持ちを後押ししてくれたのは、本当に感謝でしかない」 　きっかけは日本代表の一員として金メダルを獲得した２１年の東京五輪だった。自身は中継ぎとして登板した２試合とも失点。１回２／３で防御率２７・００と打ち込まれた。「全く通用しなかったのが悔しかった」。それでも２１年は最多勝と最高勝率、２２年は最多勝、最優秀防御率、最高勝率の３冠に輝いた。 　「別の野球があるんだったら経験してみたいなっていうのはずっと思っていました」と膨らんだ思い。球団とも話し合いを続けながら今回の決断に至った。この日、青柳が繰り返したのが「挑戦」の二文字だった。 　「体が元気なうちに、自分の挑戦ということで行ってみたい気持ちが強い。結果うんぬんより、挑戦することに意味がある」 　どれだけ自分の野球が通用するかを試してみたい。「お金が欲しいだけだったら、日本に残った方が僕はもうかると思っている。それよりも野球選手として後悔がないように」。だからこそ、「こだわりは特にない。自分の実力さえあれば上がっていけるのを信じていきたい」とマイナー契約も辞さない覚悟だ。さらに「家族は行かないです。僕１人で行くんで」と“単身渡米”も表明。愛する家族と離れた地で、がむしゃらに挑む。 　球団では２２年オフの藤浪以来３人目のポスティングとなるが、「晋太郎のポテンシャルがあれば行ってもおかしくない」と話した上で、「逆に、僕みたいな大した選手じゃなくても行って活躍したら他の選手の希望にもなるかな」と決意を示した。エージェントも決定。中日・小笠原らのマネジメントも担当するＷＭＥ社と契約し、ブライアン・ミリティ氏らが代理人となる。 　９年目の今季は２年連続で開幕投手を務めたが、２勝３敗に終わった。「この球団でエースになりきれなかったのは、申し訳ないなと思いますけど、僕自身は本当に『ありがとう』っていうのは、ファンの方への一番の気持ち。出てっても活躍することが応援してくれたファンの恩返しだと思う」。強い気持ちで、夢舞台を目指していく。