【高校サッカー選手権】前半のリードを守り切った丸岡が啓新を下し選手権出場に王手
10月27日、第103回全国高校サッカー選手権福井予選の準決勝がテクノポート福井スタジアムで行われ、丸岡と啓新が対戦。前半のリードを守り切った丸岡が勝利し、選手権出場に王手をかけた。 【フォトギャラリー】丸岡 vs 啓新 丸岡が誇る34回の選手権への出場回数は県勢最多。県内屈指のサッカーどころとして町からの注目度も高い。小阪康弘監督は試合前日に初出場時から歴史を振り返る映像を選手に見せたという。「(選手権に)出続けるのは大変。でも、先輩たちもそうした中で勝ってきた」(小阪監督)という伝統を受け継ぐ作業で、今年の選手も自分たちが伝統の重みを背負う自覚は強まっている。 この日の試合でもそうした覚悟を感じられた。ボールを奪ったら素早く前線にロングボールを入れるカウンタースタイルで打倒・丸岡を目指す啓新に対し、丸岡は応戦。失ったらカウンターを受けるリスクを避けるため、「小関は柔で、西村は剛」と小阪康弘監督が評するFW11西村心(3年)とFW小関彼方人(2年)の両ウイングを走らせる。 中央で巧みな持ち運びを見せるMF10安嶋琉生(3年)の存在もアクセントで、啓新のカウンターを押し返すと相手エリアでは左右から繰り出すロングスローで見せ場を作った。前半13分にはセカンドボールを拾ったMF7久津見颯(3年)の崩しから、小関がシュートを放ったが、啓新のDFがスライディングでブロック。16分にはロングスローのこぼれをMF12石塚流斗(3年)が頭で落とし、小関が押し込んだが、GK1村田翔太(3年)に阻まれた。 以降も啓新陣内に入りながら、ともに182cmの高さを誇るDF3矢野神(3年)とDF4市橋拓空(3年)の守備対応に苦しんだが、26分には西村の右クロスを「自分が点を取ってチームを勝たせたい」と口にする小関が頭で合わせて先制に成功。34分にはFW5奥村風磨(3年)が倒されて得たPKを自らが決めて、リードを2点差に広げた。 巧みな試合運びを見せた丸岡だったが、前半終了間際の40+1分にはロングスローのこぼれ球をFW26佐藤星南(2年)に決められ失点。後半は啓新の勢いに飲み込まれてしまう。「中盤でのセカンドボールを拾い合いで、相手に拾われる場面が多かった。相手に前からボール蹴らせないことが前線の選手の仕事だったのですが、それができなかったし、セカンドボールも取れていなかった」。そう振り返るのは安嶋だ。 後半11分には啓新にチャンス。市橋のクリアボールが相手ゴール前に入り、抜け出したFW11高橋侃大(3年)がシュートを放ったが、GK1松永幸知(2年)がセーブ。20分にもFW9籠野友侑也(3年)がGKと1対1のチャンスを得たが、シュートはGKの正面に終わり、同点に追いつけない。以降もロングシュートがクロスバーに嫌われるなど見せ場を作りながらも、スコアは動かせず、2-1で丸岡が勝利した。 苦しい試合展開となったが、それでも勝ち切った丸岡の経験は大きい。歴代の先輩たちも打倒・丸岡を目指すライバルに手を焼きながらも、粘り強く白星を手繰り寄せてきた。今年のメンバーも伝統を絶やすわけにはいかない。安嶋は「これまでの先輩はプレッシャーを跳ね除けてきたので、自分たちもプレッシャーがある中でも、しっかり自分たちのやることやって勝ちたい」と意気込んだ。 (文・写真=森田将義)