親が認知症になる前に利用できる「家族信託」って知っていますか?
家族信託の三大メリット
1)資産凍結リスクの回避 親が認知症になると、銀行の定期預金が引き出せなくなったり、不動産の売却ができなくなったりすることがあります。このような資産凍結のリスクを回避するために、家族信託を活用することで、親が認知症を発症しても、親の財産を生活費や介護費用として使えるようにすることができます。 2)多段階の相続に対応可能 高齢の親の財産管理だけでなく、残された配偶者の支援も考慮する必要があります。家族信託では、父親(=委託者兼第一受益者)の生涯だけでなく、母親(=第二受益者)の生涯も支える財産管理の仕組みを構築できます。 3)不動産の共有による「争族」の回避 共同相続した不動産が、将来さらに分散して共有関係が複雑化すると、財産処分が難しくなる可能性があります。しかし、家族信託を利用することで、将来的な相続を見据え、特定の受託者に財産管理を任せることができます。その結果、受益者全員の同意を必要とせず、財産を適切に処分することが可能です。
まとめ
家族信託は、信頼できる家族や親族に財産管理を託せる点や、契約内容を自由に設計できる点で、非常に魅力的です。しかし、家族信託に精通した専門家が少ないことや、導入コストがかかることから、長期的な視野で検討することが重要です。いずれにしても、家族信託を検討することで、家族間の思いを率直に伝える、よい機会になるでしょう。 出典 内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) 第2節 高齢期の暮らしの動向 2 健康・福祉 執筆者:廣重啓二郎 佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部