マハラージャン「ふざけてて格好いい、オモシロ音楽とは違う」
◆「残念ながら、自然とそうしたくなってしまう」
──今日いちばんお聞きしたかったのは、マハラージャンの素顔というか。サウンド的には分厚い音楽遍歴を伺わせながら、それを真正面から捉えさせないユニークさが魅力なんですが、この根源はどこにあるんですか? なんでしょうね、ふざけたいんでしょうね、最終的に。残念ながら、自然とそうしたくなってしまう。自分ではそこまでひょうきんなタイプではないと思うんですけど、なんか作ったりするときとかは、ひと手間加えたくなっちゃうんですよね。それはたぶん性格ですね。僕の場合、ふざけていて格好いいのがいいと思っていて。これはオモシロ音楽とは違っていて・・・というか、絶対違うってことにしたいと強く思っていて。むしろ、オモシロ音楽と思われたら困るくらい。 その、ふざけているというのは、ある意味オシャレだと思うんです。まだそこに至り切れてないことは自分でも認めるんですけど、次は「もっと格好良くてふざけてる」をちゃんとできるようになりたい。アルバムを作ってるときは無我夢中なんで俯瞰して見られてなかったんですけど、リリースしたあとに「自分がやりたいことってなんだ?」と改めて考えたとき、そこにブレはなかった。でも、あまり意識できてなかったんで、次からはそこをもっと強めていきたいなと。 ──その部分に関しては、今作がこれまででいちばんバランスが良かったと思うんですね。とはいえ、面白がってもらいたいけど、狙いにいくのはイヤだというのが透けて見えたり。爆笑じゃなくて、ニヤリとさせたいみたいな。 そうです。そこは正直、めちゃくちゃ難しいんですよ。そのバランスに非常に神経を使ってるんですけど、注意深く聴いてくれている人じゃないと、そこまで分からないかもしれないです(苦笑)。 ──ふざけている一方、あまり素性をそのまま見せることを気恥ずかしいと思っている節も感じたりして。 なんか僕、最近になって気がついたんですけど、恥ずかしがり屋さんみたいで(笑)。 ──実は(笑)。 そう、なんていうか、恥ずかしがり屋というか。 ──格好いいことを、格好いいままするのは恥ずかしいという。 いや、そうなんですよ。なんかね、よく「恥ずかしがり屋さんなんですか?」って聞かれていて、「いや、違います」って答えてたんですけど、よく考えたら恥ずかしいなと思いました。そもそも、いろいろ気にするタイプなんです。些細なことを気にしちゃうので、かっこつけてるという行為自体が、自分のなかで「俺、かっこつけてるやんけ!」という。 ──もうひとりの自分がツッコんでるような感じ? あるんですよね、それが。挫折の多い人生だったからかもしれないです。ずっとイケイケだったら、そんなこともなかったかもしれないですけど、たぶん、いろいろと折れて折れてここまで来てるんで、そういう性格に影響を与えたのかなとも思うんですけど。 ──たとえば、クラスの人気者でもなく、ちょっと端っこの方で「分かるヤツにだけ分かってもらえればいい」という人もいいるじゃないですか。どちらかというと、その中間にいるような。 そうなんですよ! 分かるヤツにだけ分かればいいは、僕はあんまりいいと思ってなくて。かといって、学校の人気者でござい、というのも全然好きじゃなくて。そういう「どっちでもない化身」として、今の自分があるのかも。