スペックから見た『Qi10 LSドライバー』の進化。前作の上級者モデル『ステルス2 プラス』よりやさしくなった!?【ヘッドデータ分析で判明】
テーラーメイドはカーボン使用率をこれまで以上に高めた『Qi10』シリーズで「飛距離とやさしさの両立」を掲げた。ツアープロ、上級者モデルとなる『Qi10 LS』はどのような進化を遂げているのか? 『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』と比較しながら、クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。
『ステルス2』よりも振りやすさアップ! 慣性モーメントもアップ!
テーラーメイドは2000年からチタンに変わる素材としてカーボンの研究を進めてきた。カーボンはチタンよりも軽いという特徴があり、軽量化による余剰重量の捻出によってヘッド後方を重くし、深重心にすることで芯を外した際の飛距離ロスの軽減を図れると考えた。 2012年に初代カーボンドライバーとして『グローレ リザーブ』がアジアの一部地域で発売された。しかし、期待とは裏腹に浸透するまでには至らなかった。その10年後の2022年に『ステルス』で再びカーボンフェースを搭載。後継機の『ステルス2』ではカーボン使用率が他素材を上回り、テーラーメイドのカーボウッド化が進んだ。 『Qi10』シリーズはカーボンフェースをさらに改良。クラウンに配したカーボンの割合を97%まで増やし、ヘッドの慣性モーメント(MOI)を高めた。 『Qi10 LS』はシリーズ内での位置づけが「ツアー、上級者モデル」になる。クラブ設計家の松尾好員氏の計測によれば、スイートスポット高さが33.0mm、フェースの高さに対する重心高さを表す低重心率は59.7%と「低重心設計」になっている。「これは上級者向けのドライバーによくある設計方法で、ヘッドスピードが速く、自分の力で球を上げられるゴルファーにとって最も飛距離が出せるドライバーになる」と言う。 同じツアー、上級者向け『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』も低重心設計だったが、『Qi10 LS』にはどこか異なる点があるのだろうか。フェースの色は赤から青になったが、アドレス時の顔の形状は基本同じで、見た目の形状からだけでは性能の違いを見つけるのは難しい。