中国に進出した現地海外企業から欧米人ら急減。東南アジアからの人材が穴埋め
中国では外国から進出した現地企業から欧米人が姿を消している ──。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストはこのほど、景気低迷で高収入の仕事が枯渇していることに加え、生活費の高騰や西側諸国との政学的緊張の高まりが原因と指摘。一方、これらの企業はその穴埋めに東南アジアなどの人材に目を向けていると伝えた。 【全画像をみる】中国に進出した現地海外企業から欧米人ら急減。東南アジアからの人材が穴埋め 欧州連合商工会議所のロイ・レン人材開発作業部会副座長は同紙に、コロナ禍後、短期旅行者は中国に戻ってきているが、中国で働くことを選択する欧米人は減少していると述べた。 「中国の外国企業は、採用構造を調整して地元の人材に重点を置くことで、変化する環境に適応している」とし、コロナ禍後の不安定な経済状況と雇用市場に与える影響について言及。人材不足を補うため、「残った従業員にさらなる研修機会を与えることでスキルの向上を図っている」と付け加えた。 北京国際人材交流協会が10月に発表した報告書によると、北京で長期勤務する外国人は約2万2000人で、2014年の3万7000人(国営中国通信社データ)から約40%減となった。 レン氏によると、コロナ禍後もトップクラスの外国人幹部職の需要は依然として高いが、同商工会議所の一部会員企業は、海外からの上級管理職の採用が依然として困難だとしている。その理由は、企業側が提示した給与が求職者の希望よりも低く、家族と共に中国に移住する場合、子供が通うことになるインターナショナルスクールの授業料など、高額な教育費もネックになっているからだという。 公式データによると、上海には昨年末、外国人労働者は7万2000人だった。この数字は、2019年初頭の21万5000人と比較すると約3分の1まで落ち込んでいる。 上海に住む米国人の企業弁護士ジェフリー・ウィルソン氏は、中国で働く欧米人が減った理由は、外国企業の競争力が低下したためだと説明。「一部の外国企業は規模を縮小したり、完全撤退している」とした上で、「外国人が地元の中国企業に雇用される機会は少ない」と付け加えた。 2002年から上海で働いてきたウィルソン氏は、中国の外国人雇用市場はこの数十年で大きく変化したと感じていると言う。「現在、市場とビジネスははるかに専門化している。中国で働くにはより多くのスキルが必要であり、ニッチな市場での専門知識を持っていることが有利だ」と語った。
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