行定勲監督が語る巨匠・相米慎二監督「かなわないなって思っちゃう」 過酷な撮影エピソードも披露
『台風クラブ』や『セーラー服と機関銃』など、数々の名作で知られ、2001年に亡くなった相米慎二監督の作品を振り返るイベントが21日に行われ、行定勲さん(56)をはじめ有名監督が登場。相米監督のエピソードについてトークしました。 相米監督が1993年に発表した『お引越し』と1994年に発表した『夏の庭 The Friends』が、4K リマスター版として公開されることを記念して行われた今回のイベント。行定さんのほか、黒沢清さん(69)、瀬田なつきさん(45)、森井勇佑さん(39)、山中瑶子さん(27)といった、映画界の第一線で活躍する20代から60代までの監督たちが参加しました。 『GO』や『世界の中心で、愛を叫ぶ』で知られる行定監督は「相米さんが亡くなってもう23年もたつのに、今月だけでも“相米慎二”の名前を3回ぐらい俳優から聞きました」とコメント。最近、相米監督の映画に出演した中井貴一さん(63)や浅野忠信さん(51)たちと当時の話をしたといいます。 中井さんからは、映画『お引越し』で水の中に沈んでいく長回しシーンの裏話を聞いたそうで「(相米監督が中井さんに)“沈んだら、フレーム(カメラが映す範囲)の外に潜水で逃げろ”、“子供が一生懸命やってんだから、お前がうまく逃げるんだ”というようなことを言うぐらいだった」と、水中で要求されたムチャな注文を明かし「それすら、俳優たちはうれしそうにしゃべっていて、憧れます。かなわないなって思っちゃう」と振り返りました。
■行定監督「新作を見るような気持ちで触れてもらえたら」
撮影では、何度も俳優に演技をさせて、テイクを重ねることで知られた相米監督。今年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した『ナミビアの砂漠』で知られる山中監督は、相米監督の演出を意識しつつ、自身の撮影ではあえて「3テイク以内で撮影を終わらせようと心がけている。何度も(俳優に)やらせるものかと思って」と明かしました。 相米監督の助監督をつとめたこともある黒沢監督は「今こそ、日本以外でも相米慎二監督作品を見ていただきたいという気持ちがあります」と話し、行定監督も「若い人たちには新作を見るような気持ちで触れてもらえたら、すごい衝撃になるのでは」と時代を超えた作品の魅力を語りました。 映画『お引越し』と『夏の庭 The Friends』の4K リマスター版は、27日から公開されます。